いくらに設定したらよい?

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価格設定

「バイヤーさんに価格が高すぎると言われたんです・・・。弊社の価格設定は間違ってますか?」と、東京のスーパーに加工品を卸している業者さんから相談を受けました。

価格設定 ―― これに悩んでいる事業者さんって、実はとてもたくさんいます。あなただけではありません。この商品、いったいいくらに設定すれば良いのか・・・。難しいですよね。6次化の加工品を見てみると、多くが安すぎると思います。ひどい場合、売れば売るほど赤字です。

「では、田中さん、これはいくらが妥当だと思いますか?」って聞かれることもあるのですが、そんなこと僕だって分かりません!

なぜなら価格というのは、いろんな要素によって決まるからです。一概にこうだということが言い切れません。多くの生産者は、原価割れしない値段をつけるのが正解だと思っているかもしれませんが、そんなシンプルなことではありません。

価格に影響する要素

少なくとも以下の8要素があります。

1.  味、品質、原材料、製法
2. 見た目(ラベル、パッケージ)
3. 商品うんちく(価格の差を見極めるための説得力のある情報)
4. 生産量(限定品は高くなる)
5. 誰に売るか(ターゲット顧客層)
6. 誰が売るか(売り手の信用力やブランド力)
7. どこで売るか(地方、東京、リゾート地、海外など)
8. タイミング(季節、買い手のタイミング)

これらが絡まりあっています。この一つが変化しただけで、価格が大きく変わる場合があります。

味が同じでも、パッケージデザインが洗練されるだけで、1.5倍の値付けができるなんてざらです。ブランド品になれば、その名前だけで、破格の値段になります。田舎で売るのと、東京で売るのでも変わってくるでしょう。あなたの商品説明も、もちろん影響します。

だから商品だけを見て、一概に価格を決めることはできないのです。

この中でも特に重要なのが「誰に売るか」。すなわちターゲット顧客ですね。買い手次第で、あなたの商品価格には、何倍もの差がつきます。なにに価値を見いだすかは、人それぞれだからです。

同じ商品に対して、「これは高い」と言うバイヤーがいる一方で、「安い」と言うバイヤーもいます。これは実際、商談をしていると見えてくる事実です。あなただってそんな経験あるんじゃないですか?

作り手にとっては、「高い」と言われる方が、ショックであり脳裏に残るので、冒頭で述べたような不安に駆られるわけです。

商品が「高い」と言われた時の対処法の一つは、その顧客に時間を費やすのを止めること。そもそもの価値観の違いにより、説得不可能なことがあるからです。

次の顧客を探しにいきましょう。あなたの商品にもっと価値を見いだしてくれるお客さんです。もちろんそんな簡単に見つかるわけではないので、それなりに営業活動を続けなければなりません。でもそういう人に売る方が圧倒的に簡単です。そして商品作りにも、あなたはもっとやりがいを持てるようになります。

– 田中良介

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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