フリーフロム free-from 商品開発

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Free-From
アヌーガ2017 レポート
~ 食の世界最新トレンドをビジネスへ取り入れる② ~

商品開発で悩んでないですか?

開発するからにはヒット商品を作りたいし、でも今の時代、何がヒットするのか・・・。加工業者さんも、6次産業化に取り組む生産者さんも、悩んでいるかたが多くいます。

世界トレンドを読み解くことにより、そのヒントが得られます。今日はそれをシェアしたいと思います。キーワードは「引いてから、足す」です。

引き算文化が主流となった

一昔前までは、添加物いっぱいの加工品がほとんどでした。僕が子供のころに食べていた駄菓子なんて、ある意味ヒドイもんでした。合成保存料、着色料、よく分からないカタカナ添加物。そして農業の現場でも農薬使い放題。

色んなものを足して足して足しまくる文化でした。まあ、それなりに今でも健康に暮らしてますから、どこまで自分の体に影響があったのかは分かりませんが。

しかし近年「安心、安全、健康」の高まりで、無添加の食品が少しづつ増えてきました。特に小さな事業者さんは、大手との差別化を図るために、できるだけ無添加で勝負している場合が多いです。引き算の文化が現れたのです。

これを「Less is more ― 少ないことは豊かなこと」と呼ぶ人がいます。

僕はこの言葉が大好きです。シンプルな原材料を使い、必要以上の加工をしない。加工プロセスも、微生物の力を借り、太陽の力を借り、風の力を借り、できるだけ自然な加工を手掛ける。これって実はものすごく贅沢なことなんです。そんなシンプルな贅沢さを消費者が求めるようになってきています。

ドイツ人に聞いた時、このことを「フリーフロム(Free-from)」として理解していると言っていました。

Free-Fromとは「加えない、除く」と言う意味です。Free from sugar (砂糖を使っていない)というように使います。これも引き算の概念です。世界的トレンドであるクリーンラベルのことを、Free-fromとほぼイコールであると言う人もいるくらいです。

砂糖、塩、遺伝子組み換え、またグルテン・ラクトース・大豆などのアレルギー物質を使わない。また化学肥料や農薬を使わずに栽培したオーガニック食材も、やはり引き算の考え方です。

この考え方をあなたの商品開発に当てはめてみましょう。

商品を手に取って、どんな引き算ができるか考えてみてください。砂糖を引きますか?減塩にしますか?酸味料や着色料を引きますか?なんらかの加工プロセスを省きますか?

日本でもこのような引き算を意識している事業者さんが増えてきています。僕も今までいろいろ商品開発してきましたが、基本的にこの考え方をベースにしています。

しかし「引いて、引いて、引いて」終わってはいけません。世界の最新トレンドを見てみていて分かったことなのですが、実は、その続きがあるんです。

引いた後は、足す

「引いて、足したら、差し引きゼロじゃん!」って突っ込みを入れたくなった方は、ぜひ続きをお読みください。

もちろん、また添加物や精製砂糖を足してはいけません。ここで足すのは特定の栄養素を豊富に含む食材です。

今の時代、特定の栄養素を積極的に取りに行く人が増えています。たとえば女性には抗酸化作用のあるポリフェノールが人気です。またアクティブシニア層のプロテイン(たんぱく質)への需要が増えてきています。

昨今のスーパーフードのトレンドは、足し算を表しています。スーパーフードとは、特定の栄養素をふんだんに含んだ食材です。最近の流行りではチヤシードですよね。世界的には南米原産の雑考であるキヌアがブームです。日本の食材にも、スーパーフードがたくさんあります(スーパーフードと呼ばれているかは別にして)。

それをほんの少し、料理や加工品に加えることにより、手軽に栄養補給ができる優れものです。人々がそのような食品・食材を求め始めているのです。

足し算するのは栄養素だけではありません。超豪華なパッケージであったり、手を尽くした顧客体験イベントなども考えられます。何を強く求めるかは、人それぞれ。だからあなたのターゲットとしているお客さんのことをまずはよく知らなければなりません。

商品開発の世界トレンド、その大きな潮流は「引いてから足す」。

すでに商品を持っているなら、PRの手法として考えてみましょう。あなたの商品からは何が引かれているでしょうか。また何が足されているでしょうか。それを知るだけでも、商品訴求力が各段に高まります。

– 田中良介

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この記事を書いた人

田中良介
田中良介
Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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