紹介本シリーズ⑨「農業のマーケティング教科書」

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美由子さん 今回は「広告」に関する本の紹介ですね。

 ゴメン。実は、三日前、ブログ読者の一人と直接話す機会があり“農業に関するマーケティング本”を紹介してほしい“といわれました。
そこで話した本をあなたにも紹介しようと思います。いいですか。

美由子さん 私も、農業をマーケティングでどうとらえるのか、勉強したいと思っていたので、有り難いです。

 その本は、タイミングよく(11月2日)出版された「農業のマーケティング教科書」岩崎邦彦著です。

美由子さん 持参したパソコンで検索してみます・・・。
岩崎さんは、金融機関や行政にも勤務経験のある大学の先生ですね。

どんな本か

 前から注目している先生ですこの本の帯にはこう書いてあります。

「生産者目線をいかにして消費者目線に変えるか?」「うまくいっている農業者は何が違うか?」「生活者は何を求めているか?」「6次産業化成功の秘訣は?」・・・

農業者が生産者志向から消費者志向へ転換する道筋を読み易く書いています。全国調査を行い、そこから見えてきた食と農を結ぶ道です。

美由子さん 全国調査って何ですか。

消費者調査の価値 

 この著者ならではの特徴ですが、アンケート専門サイト(Webアンケート方式)を用いて「消費者調査」「全国農業者調査」などを行い数字の裏付けがあるので、説得力があります。

美由子さん 別の言い方をすると、資金も組織もないあなたに代わって消費者調査をしてくれた、ということですね。

 いいことを言いますね、その通りです。あなたに代わって全国調査をし、結果をマーケティング的に読み説いてくれる価値ある本なのです。出版されたばかりなので、買って読んで下さい。

美由子さん 内容に目新しいことはありますか。
 「教科書」なので、農産物マーケティングの基本要素について消費者調査データを用いて全体的に分析しています。たとえば・・・

・知覚品質を高めるポイント ・好業績の農業者の特徴 ・強いブランドの特性 ・ブランドの個性の出し方 ・6次産業化の成功要因 ・農家レストランにひかれる人々の特徴他 

美由子さん 知りたいところを拾い読みしてもいいですね。
 さらに、この本を読んでおくといいことがあります。
美由子さん なんですか。

質問する力

 あなたは農産物のマーケティングについて、色々な方の講演を聞いていると思います。その時、質問をしていますか。

この本を読むと、消費者の求める農産物や食についての基本的な動向とポイントを把握できます。そして、講演を聞いて「さらに質問し詳しく理解したい」という欲求が出てくると思います(たぶん)。

美由子さん 質問する力がつくということですね。多くの農業者に読んでほしいです。

他の著書も

 同じ著者の「小が大を超えるマーケティングの法則」「引き算する勇気」の2冊も併せて読んで下さい。その中で、事業を「再定義」する考え方が秀逸です。

前回紹介した「戦略BASiCS」の一貫性を創っていくには、この事業の再定義が欠かせないと私は思っています。

最後に

美由子さん おわりにひとことありますか。
 前回の著者・佐藤義典さん、今回の岩崎邦彦さん、そして私の共通点は何かわかりますか。

美由子さん エー、何ですか・・・。
 正解は・・・3人とも「中小企業診断士」の資格保持者です。

さらにお二人の著書を読んでいる私は、「泥臭い行動と数字を基にしたロジックを大切にする」共通点があると勝手に思っています。

美由子さん 長谷川さんも、田舎で独自性を発揮していますよ。
 励ましてくれてありがとう。よし、次回は「広告」本を紹介します。期待してね!

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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