砂糖税 ―― こんな税金が4月からイギリスで導入されます。
肥満や糖尿病を防ぐことが目的です。とくに清涼飲料水に対して課されるそうです。飲料100mlに5g以上の砂糖が含まれていると課税対象になります。
日本じゃちょっと考えられない税金ですが、イギリス以外にもヨーロッパ諸国で導入されていくようです。お酒やたばこと同様に、甘いソフトドリンクも嗜好品という捉え方なんでしょうね。
ここで僕が言いたいのは、税金どうこうではなく、砂糖を徹底的に減らす大きなトレンドが海外で始まっているということ。
ヨーロッパの1/3の人は、以前に比べて、砂糖を多く含むソフトドリンクを飲まなくなったそうです。
またワインなどアルコール飲料の砂糖含有量を、明確に表示しようという議論も始まっています。実はアルコールのカロリーって結構高いんですよね~。酒飲みが目を逸らしたくなる事実です。(笑)
もしあなたが海外への輸出を進めているのであれば、これら情報を敏感にウォッチしておく必要があります。またこれら波は、遅かれ早かれ日本のトレンドにも影響を及ぼします。
あなたの商品の原料の一つとして砂糖が入っているのであれば、その扱いを今後は考えていかなければなりません。減らしたり、ノンシュガーにしたりと。
商品開発において、あなたができることとは何でしょうか?具体的なヒントをお見せしましょう。注目すべきは「置き換える」というコンセプトです。
今、世界的に流行っているのがステビアなどの天然の甘味料。カロリーが低く、体にも優しい原料です。栄養成分を壊さない抽出方法などの研究開発が盛んです。これから数年で精製砂糖がこれら天然ものにどんどん置き換わっていくことでしょう。
スーパーマーケットトレードショー2018でカナダの生産者が出展していたメープルウォーター。これは煮詰める前の樹液で、天然の糖度が2%だそうです。さっぱり優しい味で、とてもおいしかったです。もちろん煮詰めたメープルシロップは甘味料として使えますし、そしてはちみつも今後さまざまなシーンで使われていくことになりそうです。
また葡萄をとことん煮詰めただけのヴィンコットという調味料は、古代ローマ時代から使われており、近年再び注目を浴びています。なにを隠そう、葡萄農園で働いていた時に、僕もこのヴィンコットを開発しようと試みたことがあります。
また国内でよく見かけるようになってきたのが、みりんを使ったスイーツ。砂糖を、日本伝統の甘味料に置き換える流れです。シュークリームやジャムに使われている例があります。最近流行りの甘酒の、甘味料としての使い方も見逃せませんね。
身近にある和のテイストにも、いろいろヒントが隠されています。
ヨーロッパのトレンドなんて日本に関係ない!と思わずに、いち早くあなたの商品に応用してみましょう。
– 田中良介
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<参照資料>
Sugar reduction tops reformulation agenda as UK sugar tax beckons
Next-generation stevia: A new wave of extracts
EU alcohol sector plans to broaden nutritional and ingredient information
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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