冬はどんな時間でしょうか。
今、長野県の北端で新潟県と接する豪雪地域・栄村の「郷土食の見直しプロジェクト」に地元の女性たちと関わっています。
冬が長い奥信濃では、保存食等の知恵があり様々な料理方法を用いて豊かな食文化を今に伝えています。70歳~80歳代の女性の技は丁寧で年季が入っています。
ここの郷土料理は、特に地域外の者にとっては食べると何とも幸せな気分にさせてくれる優れものです。
雪深い冬について聞く
プロジェクトの一環で、村民に聞き取り調査をした際、「雪深い冬」について、そのイメージを含め聞きました。
雪掘りの苦労や(雪かきと言って以前怒られた経験があり、気をつけている)、生活が閉ざされ不便な冬は、その後の「生物が躍動するまばゆい春」を準備する貴重な「耐える時間」というイメージで語られると予想していました。
ところが、あるおばあちゃんの回答は全く違っており、私は深く考えさせられました。彼女にとっての冬とは・・・。
冬は素晴らしい時間
「雪掘りは主人がやってくれるので、私はやることが無いのです。だから普段読めない大好きな本を誰にも邪魔されず思う存分読めるので、冬の来るのが待ち遠しい。」
「深々(しんしん)と雪が降る一日は、物音一つしない静寂で、自分と向き合えるかけがえの無い時間ですね。だから、春からの活動に想いを巡らせることができるんです。」
冬が大変であることは十分に分かっているが、それを言っても仕方ない。それより、自分にとってどういう意味があるのかを見出す知恵がこのおばあちゃんにはあります。
豊かさとは、「与えられた環境をプラスに解釈する知恵」ではないでしょうか。
特別豪雪村の輝き
地域再生を考える際、その地域で生きる生活者の視点が欠かせません。
(6.10.29『映画「君の名は。」を見て地域創生を考える②』)
ゆっくり本を読んで、何人かの仲間ととびきりの漬物を食しながらお茶を飲み、感想を言い合う。若い人も加わればさらによい。
そんな「豪雪村の豊かさ」に光を当て、輝かせたいですね。
※ 過去のブログ記事はマーケティング本形式の「農業の売れる仕組みづくり」
https://agri-marketing.jp/masayuki-hasegawa-book-summary/
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この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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