先日、取引先の海外企業の人に、日本で大流行りの「サラダチキン」について説明をしていたときのことです。なぜかその彼が納得いかない反応をするのです。
サラダチキンとはコンビニなどで売られている、蒸した鶏の胸肉。ハーブ味、ペッパー味、カレー味など、様々なフレーバーがあります。手軽に食べられ、高たんぱく低脂質なので、健康やフィットネスに気を遣う女性に大人気の商品です。食べたことある人も多いのではないでしょうか。最近はサラダフィッシュなるものも発売されています。
そんな説明をしたのに、その外国人は、「ちょっとそれは違う」と言います。なぜか話が噛合わないのです。
「いやいや、違うとかそういう議論を吹っかけているわけではなく、単に日本の食品トレンドを説明しているだけやのに・・・」と僕。
彼によると、「そんなものはどこの国にでもある」とのこと。「お前は何をいまさら言っているのだ」みたいなことも言ってきます。
そして彼は続けます。
「そもそも良介の英語も間違っている。サラダチキンではなく、チキンサラダというのが正しい。」
ん?チキンサラダ?
その言葉を聞いて、話が噛合っていない理由が分かりました。彼はサラダチキンではなく、チキンサラダとして解釈し、会話していたのでした。
「チキン・サラダ」というと、チキンがのったサラダのことです。しかし日本のコンビニで売られているのは「サラダ・チキン」。
サラダ部分は売られていません!蒸したチキン単体です。サラダと一緒食べたら美味しいという意味合いで、サラダチキンと命名されているのです。あくまで主役はチキン!
しかし「サラダ・チキン」を買ってきて、家でサラダに盛り付けた瞬間に「チキン・サラダ」となります。外国人の彼は、その「チキン・サラダ」の方をイメージして、会話をしていたのでした。確かにややこしいし、そりゃ噛合わないわ・・・(お互い大笑)。
実は彼だけではありません。他の外国人と話していたときも、似たような誤解をする人が何人かいました。
しかし、どの人も、サラダチキンの本当の意味合いを知ると、興味深い!と態度が激変します。そしてその日本のトレンドをもっと詳しく教えてくれ、となります。
魅力がきちんと伝わっているか?
確かにこれは外国人相手だから生まれた誤解かもしれません。
しかしこのような食い違いは日本人同士でも見られます。製法や原材料やネーミングなど、話し手、売り手にとって当たり前になっていることが、お客さんにとってはそうではないことが良くあります。
言葉足らずであるために、商品の価値が伝わらず、下手したら、僕が体験したサラダチキン事件のように、完全に誤解されてしまいます。実際外国人の彼は、
・味も
・原材料も
・食べ方も
すべて異なるものをイメージしていました。これでは本来の魅力が伝わるはずもありませんよね。
お客さんのちょっとした誤解が、売上に大きな影響を及ぼすことがあります。我々、モノやサービスを販売しているものとして、僕たちは常にこのことを気をつけなければいけません。
‐ 田中良介
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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