国際線での大騒動

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飛行機

オランダ出張帰りの飛行機での出来事です。16日間に及ぶ行程で、かなり疲れていたので、搭乗してすぐにウトウトしてました。飛行機が徐々にスピードを上げ、離陸するかしないかのとき、

「HELP!!HELP!!!!!」

との叫び声が。
テロか!?と思って、飛び起き、寝ぼけたまま防御態勢(?)を取ろうとして、やっと状況が把握できました。

叫んだのは僕のすぐ前の乗客。その隣席の男性が、意識を失い痙攣を起こしていたのです。これはまずい・・・。機内は騒然。

あわてて乗務員(CA)が駆け付けてきて、「どうした!何が起こった!」みたいなやり取りをしています。早口な英語とドイツ語が飛び交っていて、僕にはよく聞き取れません。

その時、僕の隣の隣の席の、70代くらいの女性が急に立ち上がり、

「I’m a doctor!!」

(おおー!ドクターだ!これで彼は助かるぞ。やっぱり機内には一人は乗っているもんだな、うんうん。このセリフ、映画やドラマ以外で聞いたのは初めて・・・。)

すると次は僕の後ろに座っていた人が

「I’m a nurse!!」

(なに?次は看護婦さんが登場!この飛行機、医療体制万全じゃないか。)

乗務員、ドクター、看護婦さんが、あれやこれや大きな声で叫びながら、痙攣をおこした男性を、通路に寝かせ、衣服を緩め、応急処置を始めました。

あたかも僕の席を中心にドラマが繰り広げられているように。。。

まあ僕は何をしていたかというと「素人が口出ししたらあかん・・・」ってことで、邪魔にならないよう身体を横に反らせていただけでした。情けないことに本当になにもできませんでした。

近くで見ていて一番素晴らしかったのは、この状況を冷静に対処した男性の乗務員さんです。ドクター、看護婦さんと連携し、てきぱきと事をこなしていました。またスマホで撮影していた他の乗客(ユーチューバー?)に向かって「写真もビデオも禁止!すぐに全て消すこと!」と怒鳴りつけたり、「その他の皆さんは、シートベルトを締めたまま、お立ちにならないように!」と指示したりと、視界360度の神対応をしていました。

そうこうしているうちに、滑走路を急カーブで引き返した飛行機はターミナルに到着。そのころには、痙攣をしていた男性は、応急処置の甲斐もあり、意識を取り戻していました。救急隊に付き添われて、飛行機を降りていきました。ほんと大事に至らなくてよかった・・・。

乗客はみな、乗務員さん・ドクター・看護婦さんに拍手喝采。
  “You did such a great job!”(乗客)
  “My pleasure.”(乗務員)
みたいな会話が飛び交っています。(カ、カッコいいー!)

この乗務員さんは、このような事態を想定して、あらゆる訓練を積んでいたのだと思います。行き当たりばったりでは、あそこまで冷静な対処はできません。

これはどのような状況にも当てはまります。展示商談会に出展したとき、バイヤーさんに何を話すか?営業先でどのようなプレゼンを展開するか?想定されるバイヤーさんからの質問は?それに対してどのように答えるか?他に考えられる想定外の事態は?

必要なのは事前準備です。

起こりうるあらゆる事態をリストアップして、対応方法を決めておきましょう。そして練習しておきましょう。そのちょっとした準備が、大きな成果の違いを生み出すのです。

– 田中良介

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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