伝統と革新「老舗旅館がワイナリーをつくる!」

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創業120年の老舗旅館・中棚荘(長野県小諸市)がつくったワイナリーが11月1日にオープンしました。

老舗旅館のワイナリーは全国的にも初めてとのこと(と聞きました)。私は少額ながら協力しており、オープンセレモニーに招待されたのです。
この小諸市御牧ケ原に建設したワイナリーは標高830mで冷涼、四方の山々を見渡せる眺めの素晴らしい高台にあります。

ワイナリーの名前は、風通しが良く台地の丘に位置することから、ベトナム語のジオ(風)と英語のヒル(丘)を合わせて「ジオヒルズワイナリー」です。
なかなか素敵な名前ですね。

なぜ、ベトナム語?との問いには、ワイナリーに関わる三男がベトナムで5年間ボランティアを経験し、ベトナム人の伴侶を得たことが影響しているとのこと、納得です!

この老舗旅館がワイナリー経営を併せて行うことは、経営戦略上、どんなメリットが考えられるのか、思いつくままにあげてみます。

①今まで委託醸造で飲んでもらっていたが、自社ワイナリーを持ったことで自らのブランドとして自信を持ってお客様に提供できること。

②そもそもワイナリー建設は、採算に見合う販売先を確保するには困難を伴うが、旅館業は宿泊客という安定した販売先が確保されること。

自社ワインの評価を直接お客様からお聞きでき、改善に役立てることができること。

④特に、当旅館は芸能人やアーティスト等のワイン好きのお客様が一定層おり、口づてで友人等のワイン嗜好者への拡大が期待できること。

インバウンド客への魅力として、和食とワインという組み合わせを打ち出し易く、旅行代理店にも商品化してアピールできること。

特に、栽培品種がシャルドネ、メルロー、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランなど欧州種であり、和食とのマリアージュは関心を呼ぶと思われる。

一方、経営にマイナスと考えられることは、ワイナリー経営で経営資源が分散されること、借入金等の負担が旅館経営に負担となる懸念など。

しかし、経営資源の分散については、長男夫婦が旅館、三男夫婦がワイナリーに関わり、人的な対応に問題がないことは両親(社長・女将)にとって力強い。

なにより、聞いたところでは、長男はレスリング元日本代表、社長・長女・三男は元アルペンスキー選手。
そして、女将さんは全国をかっ飛ばす「ナナ半ガール」で、日本百名山を踏破している「山ガール」でもあることです。

中棚荘は羨ましいほどのスポーツ&団結ファミリーなのです。伝統と革新で老舗を維持しつつ、新たな千曲川ワインの文化を創造してほしいと期待します。

最後に、この“風の丘のワイナリー”は、中棚荘の「古い定宿客」のよんだ詩そのままの情景を彷彿とさせてくれます。

その「風を感じる詩」とは・・・

嶋崎藤村作・若菜集より ~秋は来ぬ~
「一葉は花は露ありて 風の来て弾く琴の音に 青き葡萄は紫の 自然の酒とかはりけり」


※ 過去のブログ記事はマーケティング本形式の「農業の売れる仕組みづくり」
https://agri-marketing.jp/masayuki-hasegawa-book-summary/
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この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川 正之
アグリフード(風土)アドバイザー

長野県の農産物統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」を創設し中心となって推進。また信州6次産業化推進協議会副事務局長として、地域6次産業化を主導。H28年3月をもって任期満了し、地域創生を支援するアグリフード(風土)アドバイザー業務を開始する。長野県内で幅広いネットワークを持つ。現上田市農政課職員(非常勤嘱託・元長野県農政部職員・中小企業診断士)
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