師走に入ってから、ご縁があり、プロの風景写真家と懇親する機会がありました。
私の人生にクロスすることが無かった業種の方です。
12歳年下の彼から聞く話は新鮮で、私は少年のように質問し、その都度感心しながら聞き入りました(=気持ちよく酔えました・・・笑)。
写真との出会いから始まり、撮影に関する興味深い話を聞きつつ、いくつか学んだことを記します。
私の「撮影場所はどう見つけるのか」の問いに対して、彼が言うには・・・
「一人で歩き回りますが、探すというよりは呼ばれて行く感じです。その場所が呼んでいるように思い、すぐに行ったことが何度もあります。」
では、自然の方から語りかけてくる、呼んでいるという感覚は、どこから生まれるのでしょうか。私は彼の次の言葉が関係しているように思います。
「カメラ機材を背負って20年以上歩き続けてきました。オーバーな表現かもしれませんが、仏教の修行に似ているようにも思うのです。その修行のおかげで、撮影現場に出会うことができるのではないかと」
そういえるのは、千日回峰行のような荒行ともいえる自然との過酷なやりとりをし、自らもその自然の一部として生きてきた自負があるからではないか。
別の言い方をすれば、自然に受け入れられ生きてきた自分だからこそ撮れる、という強い信念が無いと立ち向かえない仕事ともいえましょう。
そういう彼の瞳はキラキラ輝き、澄んでいました。そこに私は求道僧を見たのです。
普段、そういう方に滅多に出会わないので、思わずファンのように握手を求めました
(2人が飲んでいる楽しい写真がありますが、個人情報につき掲載は控えます。奥様の岡田康子さんがフェイスブックに掲載)。
もう一つ、話を聞いていて感じた言葉は「プロの写真家は料理人に似ている」。
彼は学生時代、あるきっかけで写真に出会い、日本海を毎日カメラ越しに見ていました。
私が、日本海は荒波と曇天というイメージがあり、モノクロの世界ですね、と突っ込むと彼はこう返しました。
「その日常の風景に、一条の光が差し込んだ瞬間、鮮やかな光の世界が現れるのです。非日常です。」
私の解釈では、料理人は日常の家庭料理と違う非日常のプロの料理をどうつくるのか。プロの技を磨き発想を豊かにして非日常の料理を生み出す修行をし、ようやく到達できる。
プロの写真家も似ている、ということではないか。修行の中から非日常の世界がもたらされるということ。
顧客は風景写真に「非日常世界を見たい」という欲求があります。その欲求を満たしてくれる写真家との出会いを求めています。
顧客と生産者(写真家)が同じ方向を向いているのが、顧客志向のマーケティングです。
違った言い方をすれば、自分と同じ方向を求めている顧客を見つけ出すことがプロの写真家としてやっていくには不可欠でしょう。
色々な場所で展示し、写真と顧客とが出会える場面を多く作ることが欠かせません。
そして、自分はこういう思いで写真を撮ってきたと多くの方に話しコミュニケートすることも、顧客を広げることにつながります。
話すのはそんなに得意じゃない、という彼に私が提案したのは・・・「私が質問して彼が答える形でのトークショー」です。
これなら負担は軽くなります。名マネージャー役の奥様にも納得してもらえると思いますが・・・。
ちなみに、この懇親の席で私が持ち込んだワインの代わりにいただいた来年のカレンダー「小さな幸せ」は、たまたま出会った県のトップ(知事)に素晴らしい写真家のものとして紹介し渡しました。つなげるのが私の役目です。
そして、そのカレンダーの中で一番気に入った「赤富士と霧氷」という写真を額縁入りで購入し、我家の新年を飾ることになりました。ありがとうございます。
最後に、この風景写真家をこっそりあなたに紹介しましょう。
岡田光司(みつし)さん、風景写真家、上田市在住(実績はウィキペディアをご覧ください)。カレンダーはアマゾン等で購入できます。
今年最後のブログは、今回の素晴らしい富士の山をゲットした話で終わります。
みなさん、よいお年をお迎えください。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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