「気配」!

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以前、ブログに書いた「小さな大巨人」(2019/03/31ブログ)のサックス奏者・坂田明さんの軽井沢イベントに妻と参加しました。

曲目は、坂田さん・朗読者の青木裕子さん・パーカッションのよしむら欅さんの3人による「耳なし芳一」。

あなたは話のあらすじをご存じですか。ここでは触れませんが、お盆にふさわしい斬新なサックス+朗読+効果音で、感動でした。

終了後、演奏者たちと懇親の場があり、いろいろな話が出ました。
3人の演奏は、ストーリーにそって場面ごとにお互い演奏し進めるのですが、聞いて反応するのではどうしても0.何秒か遅れ気味になる、どうしたらよいか、という話になりました。

そこでの坂田さんの発言が心に残りました。

「他演奏者の音を聞いての反応では、その音に自分の魂が吸い取られてしまい、うまく反応できない。演奏者の気配を察知して、自ら演奏するのがいい。」

難しいことはわかりませんが、久しぶりに「気配」という言葉に私の心は反応しました。「気配」とは辞書によると「はっきりとは見えないが、なんとなく漫然と感じられる様子」。

パソコンや携帯に依存した日常生活では、五感が衰えていくいっぽうではないか。気配を察知するには、五感が必要。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。

歳をとれば、視力や聴力は確実に衰えていきますが、匂いや香りを嗅ぎ、味を感じ、物に触れたときに生ずる感覚は衰えているのか自覚がありません。

でもこの後、はからずも私が「気配」を感じられるか試される場面がやってくるのです。

夫婦で懇親会をおいとまし、軽井沢から車で帰路についたのですが、急に雨が強く降ってきて暗闇の中ナビは反応せず、3方に分かれる道のところで立ち往生。さて困った。

どの道を行くべきか、かいもくわからず大きな不安に押し潰されそうになりましたが、雨の降りしきる暗闇の中の3つの道を全身で凝視していると・・・

なにやら一つの道に「気配」を感じたのです。すーと進むと遠くに灯りが見え、やった~と思わず二人で声を発しました。

暗闇の中で「気配」を感じ、無事我が家にたどり着けたのは、その少し前に、「耳なし芳一」を全身で体感し、また坂田さんの「気配」の言葉に私の五感が鋭敏に反応し準備が出来ていて、導いてくれたと思うのです。

便利な日常生活の中で、手元の小さな画面を見つつ「記号のやりとり」だけしていては間違いなく五感は衰えます。

せっかくの豊かな自然に囲まれた田舎暮らしなら、あえて漆黒の暗闇の中に身を置いて、何かの「気配」を感じてみたいと思います。

真っ暗で静寂な空間なら、表面的な視力や聴力はあまり関係ありませんし、そこでこそ「豊かな生き方」とは何かを見いだせると信じて・・・。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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