老詩人の胸を打つことば

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軽井沢で今週、谷川俊太郎さん(87歳)の詩の朗読会が開かれました。昨年に続いて聴きに行きました。

ジャズピアニストの賢作さん(親子)と、朗読者・青木裕子さんとのコラボですが、今回も印象に残るシーンに出会いました。

その場の雰囲気で読む詩を選んで披露していくスタイル。2時間、いくつもの詩を聴き、大きなウェーブになっていくのですが、昨年出版の詩集「バウムクーヘン」からの紹介も。

「バウムクーヘン」ということばについて、谷川さんはこんなふうに述べています。要約すると・・・

「ヒトが木の年輪(バウムクーヘン)のように精神年齢を重ねていくものだとしたら、現在の自分の魂の中にゼロ歳から今に至る自分がいてもおかしくない。
私の中にひそんでいる子供の言葉を借りて、老人の私が書いた大人の詩集です」

読まれた詩の中で、私を含む多くの聴衆がある詩に大きな感動を覚えました。
すきになると」という詩です(買って読んでください)。

すきになるのがぼくはすき
だれかがぼくをきらいでも
ぼくはだれかをすきでいたい
すきなきもちがつよければ
きらわれたってすきでいられる

なにかをすきになるのもぼくはすき
すきになると もっとそれをしりたくなる
しればしるほどおもしろくなる
それがうつくしいとおもえてくる

だれかをなにかをすきになると
こころとからだがあったかくなる
かなしいこともわすれてしまう
だれともけんかをしたくなくなる
すきなきもちがぼくはすき

読んでの谷川さんの一言コメントが・・「日韓両国の関係ですね」
どっと歓声が沸き起こりました。聴衆の気分が一気に軽くなりました。  

すきなきもちがつよければ きらわれたってすきでいられる

こんな素敵な大人の感覚が一人でも増えればと祈りつつ、あなたに伝えます。
両国にも少なからずいると信じていますので。

名残惜しくも帰路につき、この日、老詩人から教わったことを思い浮かべると・・・

私もあなたも、『人間として「本質を考え抜く努力」を怠ってはならない』ということ。
今こそ、周りの雰囲気に流されず、一人寡黙に先達の詩集を手にとる時ではないか。

歴史を作っていく小さな一人の人間として、未来への責任を果たすために。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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