「白い蝶」が導いてくれたこと

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長野県は、昨年の台風19号で未曽有の被害を受け、県民は「気候変動」に関心が高く、警戒心が強いと思います。このブログでも書いています。

この冬は例年になく暖冬で、雪がほとんど降りません。なにやら年初から不安な気持ちにさせられるのですが・・・。

そんな思いとは関係なく、私は友人と(私より30歳は若い・・・羨ましい)ある社長を訪ね、用件を済ませて帰ろうとしたところ、その社長は営んでいる料亭で昼食を用意したから食べていったら、とのご厚意(ご自身は所用で同席できないが)。

ここは、ご厚意に甘んじることに。
30代の若い友人は、初めて食べる和の料理に感じ入ることしきり。コースの料理はどれも美味しく、昼からリッチな気分に浸る。

そして、最後に出された「甘味」に、心がすーと感じ入り、しばし見つめ続けたのです。

後で食べた黄金色の柚餅子(ゆべし)は、ゆずを使った和菓子で何とも言えない甘味でしたが、食べる前にしばし見つめ続けたのは、大根で造形された「白い蝶」のほうです。

突然、眼前に現れたこの蝶は生きていて、黄金色の花にとまっているのに違いない、と私はとっさに確信しました。

そんなわけがないことはもちろん承知なのですが、私には「そう思いたい」気持ちがあったのだと後で気づいたのです。

雪不足で、いつもなら周りに当たり前にある白い景色を見ていません。この白い大根の蝶は「雪の化身としてここにいるのだ、と感じたのです。
こころで手を合わせていました。

白い蝶を見つめつつ、自然を人間の敵として警戒する気持ちが強すぎていないか。自然の摂理にもとづいて生かされている人間、という気持ちを見失っていたのではないか。

自然に対するバランス感覚、さらに言えば、自然に生かされている我が身の「心の座標軸」をしっかり持つことの大切さを、この「卓上の白い蝶」は教えてくれているように思ったのです。

食べ終わり、外に出て、山々を包む寒気を思いっきり吸い込み、自然を身体で感じた充実したひとときとなりました。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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