酒・味噌造りと納豆の関係は

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いきなりですが、納豆の好きなかたはご存知ですか。
「酒造りにとって納豆は厳禁」という話。

日本酒造りの要、米麹(こめこうじ)造りには納豆の納豆菌が大敵。

納豆菌が麹米に繁殖すると、繁殖スピードが速く、スベリ麹と呼ばれるヌルヌルした納豆のような麹になってしまい、良いお酒が造れません。

ですから、「酒蔵に入る人は、納豆を食べてはいけない」のです。

昨年12月に発足した「信州上田・発酵の女学校」の酒造り実習授業で、講師の杜氏・岡崎美都里さんが生徒の長野大学女子学生たちに「納豆断ち」をしてのぞむように言い渡していたのです。

ある生徒は、「納豆が好きで毎日食べているけど、我慢しました」と決意を明るく話してくれました。
何かを得るには、何かを犠牲にする」という社会の基本を体得してもらえたらなと、教頭の私はおせっかい気味に思うのです。

味噌造りでも米麹を使うので、納豆を食べられる期間は、味噌の仕込みが終わった合い間の年に2度ほどに限られるとのこと。

実家の味噌醸造会社で味噌造りに励む女学校講師の市川絢子さんは、納豆好きなので「それは待ち遠しい」といい、続けてこんな話をしてくれました・・・

「ある時、子どもたちの担任から電話がかかってきたんです。お宅のお子さんは給食で納豆を食べないのですが。
エー、そうか。お母さんの私が食べないので子供も食べないんだ、と涙目になりました。」

別に子供が蔵に入るわけではないけど、お母さんに合わせて納豆を我慢し、食べれる時期は一緒に思いっきり嬉しそうに食べるそうです。

子どもたちは、味噌造りに納豆はダメ、と母の姿から学んでいたのです。
私は、素直に「家業ってイイナ」と誇らしく思いました。

そして、納豆大好きな私は、日本酒も味噌も一緒に美味しく食べ飲みますが、それは造り手の彼女たちが「納豆断ち」してもたらしてくれた恩恵なのだと、改めて感じ入ったのです。

ありがとう! 美都里さん 絢子さん!

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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