新型コロナウイルスの影響で消費が落ち込み、地方の観光や飲食産業等への深刻な影響が懸念される。
自粛が委縮に進み、回復の道筋が見えない。
そこで、飲食店のとりうるマーケティング具体策の一つとして、顧客名簿の整備とアプローチが必須と考える。
田舎の小さな飲食店や居酒屋は、普段の身近な常連さんが中心で顔が特定でき、安心して会話し食せる信頼の空間が出来ている。事実、そういう店は混んでいる。
一方、市内商店街の店は住宅地から距離があるせいか、わざわざ行きにくい。萎縮の影響を受け、少なからず閑古鳥が鳴いている。
そんな時、店のオーナーは空いた時間を使って顧客名簿を作ったらどうだろう。
お客様のAさんは家族連れで来てくれる、あの料理を好んで注文する。
Bさんは、会社の仲間と来てくれる。好みは魚料理に日本酒(銘柄〇〇)等。この際、住所・職業・地元の所属組織(消防団や自治会・PTA役員他)・好みの料理&飲み物。宴会を持ち込んでくれるか等、整理したい。
今まで店の売り上げに貢献してくれたお客様を感謝の思いを込めて棚卸し、自前の顧客名簿を作成し、改めて今後のつながりをお願いするのだ。
もし、お客様の個人情報が日頃の会話からはつかめず、顧客名簿が作れないでいる場合、普段のお付き合いが薄かった(お客様に関心がなかった)ということを自省したい。
その場合、電話番号がわかれば、直接電話して是非来店してほしいと誘う。特別メニューか割引価格等、インセンティブ(来店したくなる特典)を加えて。そして、情報を補充していく。
常連客が何人いるかで、今後厳しい場面を乗り切れるかどうかが決まる。
改めてチラシを作製して配る。
内容は、コロナウイルスが気づかせてくれたこと、お客様への感謝、店の経営理念は何か、来てほしいお客様とは、強みや自慢メニュー等、店の存在意義を考え思いを伝える絶好の機会。
まさしく、マーケティング主軸の経営を志す。
一方、どうしても存続してほしいと願うお客側は、以上の取り組みを店に働きかけ熱意をもって支援する。
この店が閉じたら地域のコミュニティの場がなくなる、自らの日常生活のリズムに支障をきたす(ストレス発散の場がなくなる)等、危機感をもってお客を紹介したり自ら連れていく。つまりは、お店の営業マンになるのだ。
お客がお店で食事をし感染して死亡するリスクと、店主が店じまい(倒産・自己破産)に追い込まれ命を絶つリスクを勘案すれば、どちらのリスクが大きいか。
お客側は目をつぶって考えれば思い至るだろう。
中小事業者の事業行き詰まり(倒産・自己破産)に対し、政府がセイフティーネットを整え、支援するのは当たり前だが、まわりの人たちは自らできることを考え、ささやかながら行動することが重要と思う。
今、私が家で見ている映画のメインは、今までめったに見なかった東映の高倉健主演の任侠映画である(肝を据えるため、心が欲している・・・苦笑)。
任侠とは本来、仁義を重んじ、困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神や人の性質を指す。
冷ややかな「自己責任論」が横行する今こそ、地域での「任侠」かたぎ(気質)で「見えない敵」に打ち勝とうではないか!たまには健さんを観よう!
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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