棚田オーナー募集への申し込みが止まらない!

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首都圏から軽井沢への避難の動き
今、首都圏から軽井沢の別荘に「コロナ疎開(避難)する人が増えてきて、自治体首長から自粛を求める声明が出され、混乱が起こっています。

地元の食品スーパー駐車場には首都圏ナンバーの車が並び、カップ麺やレトルト食品、米が売れ筋とのこと。完全に別荘に引きこもる目的か。

この時期なので、地方からすると「首都圏からコロナ避難民が押し寄せる」というネガティブな受け止め方になりがちですが、首都圏からの別のポジティブな動きにも光を当てたいと思います。

上田の棚田オナー募集へのポジティブな動き
というのは、上田市が支援を続けている「稲倉の棚田」オーナー募集への申し込みが例年になく好調なのです。

このオーナー制度とは、市内の「稲倉の棚田」の田んぼを借りて、田植えから稲刈り・天日干しを始めとしたお米作り一連の作業を体験でき、ご自分の区画には看板が立てられ、収穫したお米がもらえます。

また、酒米作りでは、翌年3月には搾りたての生原酒をオーナー専用の瓶に瓶詰体験し、持ち帰りできます。

このオーナー制度は、「稲倉の棚田」の「保全協力活動」という趣旨があり、高齢化する地元保全委員会メンバーの活動を支え連携する意義があり、「持続可能な地域づくり」につながるものです。

「白米と玄米」コースは、50区画、コシヒカリ30㎏、年会費3.5万円~4万円。
「酒米」コースは、20区画、搾りたての原酒(4合瓶で12本)を直汲みして持ち帰り、年会費5万円。

今年度の募集は例年以上に好調な出だしでしたが、先週東京のある区(上田市と姉妹提携都市)の広報誌に募集が掲載されて以降、あっという間に募集枠が埋まり、現在は追加枠で受け付けています(嬉しい限り)。

首都圏からの応募者が急速に増えて全体の9割を占め、例年以上の比率です。

コロナ禍の影響を考える
なぜ、こんなに首都圏から応募が殺到するのか?私は「コロナ禍」が少なからず影響していると考えます(特に、4月7日の東京の緊急事態宣言です)。

日本中、国民は目に見えないウイルスを敵にして、日々不安の中で暮らしています。
そんなとき、自然はコロナウイルスに感染しませんし、私たちの不安の心を癒し、安心感を与えてくれます。

そして、確かな歴史を持ち、ご先祖様から受け継がれている田舎は「目に見みえる確かな信じられる存在」です。

また、申込者の家族やグループは、一緒に行う農作業により「連帯する労働」を共有し、生きる価値・手応えを見出したいとの願いもあるでしょう。

「酒米」コースが早く満杯になりました。自分で田植えをし稲刈りや天日干しによる酒米を醸した日本酒は、至上の価値を持つ自分への贈り物なのです。

田舎の持つ価値を創造する
そんなとき、稲倉の棚田が持つ独自の「風・土・水」や「山・森・川」そして「そこに住む人々」という風土が日本酒の付加価値となり、豊かな味わいを生むのです。

「稲倉の棚田」と共生する時間を持ち、生きている確かさを実感し、コロナ禍に打ち勝ちたいという潜在的な欲求があるように私には感じられます。

外出自粛で、人との濃厚接触(濃いコミュニケーション)を断たれた個人は、孤立する中で一層「自然」と「連帯」に価値を求めるでしょう。
棚田オーナー制度が、その欲求を満たす存在になればと思うのです。

東日本大震災、台風19号災害、首都圏直下型地震の怖れ、そして今回のコロナ禍により、歴史の流れは「死を意識し生き抜くためのリスク回避」「大都市のもろさを理解し地方への分散」「命を維持し持続するための農業・漁業の再興の方向に大きく転換していくのではないでしょうか。

そこから「田舎の復権」「田舎で暮らす豊かさ」に光が当てられると思っています。

宅飲みが長期化しそうです。あなたが自宅で、ある「棚田が関わる映像」を見ながらチビリチビリとやる機会を提供すべく動いています。

近々、紹介できるかもしれません・・・続く、です。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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