コロナ禍による都市住民の食の変化

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6月18日付日本農業新聞に、コロナ禍よる都市住民の意識変化の街頭調査結果が示された。

5月中旬から6月上旬に、首都圏の主要駅で「国内農業への意識変化」「家で料理をする回数変化」「食生活の変化」などについて210人から回答を得た。
その記事は、こんな内容だ(私の簡約)。  

【意識変化の要約】
〇国内農業への意識変化では、「以前より大切に思う」が全体の40%。
年代別傾向は、高齢者が50%以上と一番高く、家族と同居している人も46%と高い。

識者によると、家族と同居の人が高いのは、普段の会話やニュースで農業に触れる機会が多いからではないか。

一方、明日が見えない人に「農業が大切と思うか」と聞いてもピンとこないのではないか、と指摘。

〇家で料理する回数の変化では、「増えた」が全体の62%。
家族と同居している世帯は69%と高く、年代別では40歳代が最も高く76%。

40歳代は家族と同居の子育て世代だが、収入減や外出自粛、学校休校等により家庭で料理を作り食費を削減する節約志向。

〇「収入が減った」のは全体の46%。
収入が減る一方、家にいる時間が増え食事にしわ寄せがいくリアルな現実が浮き彫り。

以上だが、思ったことを一つに絞って書く。
この記事のポイントは、あなたと同じではないかと思う。

「家族と同居している人・世帯」の意識変化である。私の思い描くストーリーを書いてみる。

【家族で食事をする豊かさ】
「国内の農業を以前より大切に思う」「家で料理をする回数が増えた」の両方の回答が多い。

今まで、日本の家族は「孤食」が多かった。特に、子供の孤食は大きな問題をはらんでいる。

そんな時、コロナ禍で、家族が家にいる時間が増え、家で料理し食事をする回数が増えた。

収入減での節約志向により、家で料理し食卓を囲む。家族は一緒に食事をすることでコミュニケーションが深まり、食材の生産地や作り方等の農業にも話が及ぶだろう。

夫は普段やらない料理をし、ほめられ家族内での存在感が高まるかもしれない。
家族は食事を一緒にすることで「取り戻すことがたくさんある」と思うのだ。

しかし、全体からすると、一人暮らしで収入減により食を切り詰めている人は増えている。

コロナの時代は自粛をどこかで制御し、独りの人は仲間たちと飲食店で楽しく食事をして、人間性を担保しよう。

でないと、料理は独りで寂しく食べるとき、「エサ」になり果てる。
料理はワイワイ楽しく食べてこそ、「いのち」を与えてくれるのだ。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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