「マツタケ給食」

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上田市は知る人ぞ知る全国でも有数のマツタケ(松茸)産地。
なかでも塩田地域が有名で、今年の採れ具合の問い合わせ電話が市役所にもかかってくる。

先週、地元の小学校(児童233人)で、地元の協力のもと今年も恒例の「マツタケ給食」を行ったと新聞で紹介されている。今年で16年目。

この取り組みの仕掛け人は、当時の小学校評議員のHさん。 「マツタケ給食」の趣旨は、「食を通じて郷土を知り、自らの郷土を愛する人になってほしい」。

メニューは、「松茸ご飯」「松茸入りすまし汁」「鶏肉の美味だれ焼き」「巨峰」などのスペシャルな献立。 マツタケを提供したのは地元松茸山組合の5業者とボランティア団体。

マツタケ約7.5㎏(62本)とぶどう「巨峰」11㎏、新米24㎏が提供された。今年は新型コロナの影響からどうするか提供者で相談したが、「苦しい時だからこそ子供たちに松茸を食べてもらい元気を出してほしい」との思いで一致。

生徒は、「美味しかった」「2杯も食べた」「家で食べたよりも給食のほうが風味がよく美味しかった」。6年生は「1年生から食べて今回が最後なのでさみしい」との感想も。

給食を食べる姿を見守るHさんは、「大人になっても心温かい皆さんが大勢いる。故郷に帰ってきて地域を盛り上げてほしい。故郷の味を忘れないでほしい」と話した。

この地域の小学生は、全員が1年に一度松茸を食べることができる。『地域の子は地域が育てる』という言葉どおり、16年継続していることは見事である。

思うに、地域の提供者は、子どもたちの喜ぶ姿を見れることに、「この地域に暮らしている誇り」を感じているのではないか。それが「共同体」というものではないかと思う。

「マツタケ給食」という特例ではないにしても、地域の人たちが愛情を込めて地元小学校に関わることはどこでも見られること。 私も小学校で年何回か本の読み聞かせをしている。

そして、思う。教えることは学ぶことだと。「これは間違いだよ」と教えられるか

そういえば、自分もかつては子供であり、子供は昔から連綿と続いている。ならば、昔の自分が欲している回答を伝えればいい。

昨今の「改ざん」「隠ぺい」「不法破棄」「ねつ造」、また「今だけ」「金だけ」「自分だけ」の時代風潮に対し、大人たちよ地元の小学校に関わろう。

そして、小学生から「何をどう教えるか」の機会を得て、学ぼうではないか。
それにしても、マツタケ給食は、うらやましい限り・・・。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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