錆アート(1)

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この「暗中模索」という錆アート作品は、私が住む長野県坂城町出身の若きアーティスト・關戸望(せきどのぞむ)さんによるもの、30歳。
縁あって世代の違う(2倍以上)彼と出会い、応援してきた(気持ちだけでゴメン)。

この10月19日、SEKIDO錆作所「ギャラリー&カフェ」をプレオープン(31日オープン)。
錆を使ってクリエイトした作品を日々生み出している。

彼は言う-『錆びるとは、生きることだ』。鉄を錆びさせるという不便さに「生」を感じた。 私たち人間が何をしようと、関係なく進行し続ける「錆び」という現象の「素直さ」に惹かれ、鉄を打ち、塩水をかける手間をコダワリとして制作している-

上田市にある「ギャラリー&カフェ」を訪れ、展示作品を何点か眺めながら、彼から説明を聞いた。
その日、寝床で、ギャラリーで見た「暗中模索」という作品がどうにも気になりだした。

この作品の制作経過は彼に聞いたところ、こうだ。
実家にある木に古い鳥の巣があり、どういうわけか惹かれた。写真に撮り、パソコン上で錆の図柄として制作し、黒い色をかけて、そこからその図柄を取り出していく・・・

想像しにくいところもあるが、存在感のある作品だ。
「暗中模索」とは、「手掛かりがないまま、いろいろとやってみること」だが、私がなぜこの作品に惹かれたのか。作者の意図とは関係なく、自らの心の中を探ってみる。

描く細い鉄の錆群は、枯れ枝を思わせる鳥の巣の抜け殻。 しかし、この鉄錆の巣は時間をかけて外敵から守るために造り上げた堅固な城のよう。

不安・不安定な暗闇の中で「生」を産み、育て、巣立つまでの安全な住処(すみか)となる。
人間に役立つために作られた一本一本の細い鉄は、時間ととも大気や雨という自然と交わることで酸化し、人工物から自然物化していく。

役割を終えたこの鉄くずたちは、錆ることでより自然に還っていくが、どう役に立つか「暗中模索」の中でくずとして集まり、新たな生を産み出す役割を負う。
古いものが新しいものを産み守るのだ。私もそうありたい!

今一度言おう。人工物の鉄が錆びることで自然物化し、自然のままからはつくれない「堅固で安心な拠り所」をつくる。

それが、見る者を「鉄が錆びること(生きること)で身近で堅固な自然のぬくもりある独特の存在」と認識させる。そして心が落ち着くのだ。

コロナ禍の不安な時代、「暗中模索」する中で、「人工物の自然物化」に価値を見出す新たな胎動と私には感じられる。

翌日、このアート作品を購入希望したのはいうまでもない(紙ベースでの制作物、限定枚数)。

このギャラリーには、關戸さんのメッセージ性がある作品が展示されている。

ここに無いけれど、私が気に入っている作品を次回紹介しよう。
彼のスプレーアートである。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川 正之
アグリフード(風土)アドバイザー

長野県の農産物統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」を創設し中心となって推進。また信州6次産業化推進協議会副事務局長として、地域6次産業化を主導。H28年3月をもって任期満了し、地域創生を支援するアグリフード(風土)アドバイザー業務を開始する。長野県内で幅広いネットワークを持つ。現上田市農政課職員(非常勤嘱託・元長野県農政部職員・中小企業診断士)
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