前回の錆アート(1)に続き、錆アート(2)。
彼はもともと日本画を志望していたという。
しかし、「自分と絵画」という関係ではなく、「人と人が関わるところに絵画がある」「人と人が関わる中で作品を生み出したい」という思いが募り、京都造形大学こども芸術学科に進んだ。
現在は、錆作品のほかライブペイントやフライヤーデザイン、ボード制作など、多岐にわたって活躍中。
錆アーティストである關戸さんは、「廃墟」「さびれたところ」「欠けているところ」が好きだ。そんな彼が車にスプレーした錆作品がある。
制作過程を記録した動画を見たが、無地の車にスプレーで錆色を描き、塗り込んでいく。大胆であり、見ていて気分爽快、ワクワクする。
なぜ、わざわざ古くするのか。 車は移動する機能を持つ物体である。錆により「生」を吹き込まれる必要などない。
しかし、彼は車にペイントし錆で自然化して時間的な価値=生を与えるのだ。 そこに佇んでいるだけで味わいがあり、自然と同化し、見る者の世界が広がる。
錆アートで、現在と未来を行き来する。
錆は、決して鉄の「劣化」ではない。あえて言えば「深化」である。人の「老い」も、同じく「劣化」ではなく「深化」ではないか。
隣のトイレ棟にもペイントがしてあり、楽しい空間だ。中は綺麗なトイレで快適。 「トイレが一番の自慢」と笑う關戸さんだが、「関戸」ではなく、あえて戸籍上の表記「關戸」を使う。
新しいと古いが同居する、未来を造形するアーティストなのだ。
独特の感性を持つ彼に会いたい方は、SEKIDO錆作所「ギャラリー&カフェ」に電話して確かめられたい。
私はこれからも彼を応援していくつもり(気持ち+αで)。
この記事を書いた人

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アグリフード(風土)アドバイザー
長野県の農産物統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」を創設し中心となって推進。また信州6次産業化推進協議会副事務局長として、地域6次産業化を主導。H28年3月をもって任期満了し、地域創生を支援するアグリフード(風土)アドバイザー業務を開始する。長野県内で幅広いネットワークを持つ。現上田市農政課職員(非常勤嘱託・元長野県農政部職員・中小企業診断士)
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