「こんな若手農業者が飯山にいたんだ!」
と弾んだ声を私に掛けてくれたある塾生。
8月~11月にかけて計6回開催した飯山農業経営塾の5回目で、グループトーク終了時の忘れられないシーンだ。
私は飯山市主催のこの塾で、塾長として農業マーケティングを講義し、市場関係者・若手農業経営者の講演を企画し、そして塾生が自らどういう農業をやりたいのか、意見交換する時間を持ったのだ。
初回参加の23人のうち、出席状況や宿題を課して厳しめに絞ったが、思いのほか2/3の15人が残った。
この日は、4班に分け、聞き合い学ぶ場。堰を切ったように塾生が真剣に発言し、質問する姿に胸を打たれ、時間を延長した。
お互い、自らに無い考え方や行動、経験を聞き合い、刺激的だったと思う。
市内で同じ農業をやっていても、知らない人がほとんど。
でも、この日のように接近戦で「こんな農業者がいたんだ」と知りつながることで、豊かに生きていけるきっかけになると思う。
最終の6回目は修了試験の発表会。
塾生たちは、私が考案した「一人から始める経営戦略シート」により自ら農業に関わる使命・理念・自らの強み弱み・機会脅威等を語り、あるべき姿を設定。
現状とあるべき姿の乖離が課題であり、それを踏まえ農業経験のある塾生は顧客ターゲットを設定しマーケティング展開を述べた(農業経験の浅い塾生はここは略)。
最後に、来年度の数値目標と具体的な行動宣言を力強くおこなった。
修了証書授与式で、私は証書にこだわった。文字は習字の得意な知人に書いてもらい、「飯山農業経営塾印」の印章をネットで注文して作り、紙質も独自なものを用意して塾生の熱い思いに応えたいと思ったのだ。
15人は毎回、農作業を終え19時~21時(途中から18時30分~20時30分)の2時間、眠気が襲う夜にマスクをしての学習、よく続いたと思う(私もそのあと高速をとばして自宅に23時頃着だったが)。
しかし、これで終わりではない。同窓会を提案し、掲げた数値目標や行動宣言を実行したか確認し合うことが大切だ。
発表会で同じテーマに関心のある塾生たちが仲間をつくり取り組めば成果につながる。
「エコファーマー認定の取得」「無農薬無化学肥料栽培」「米の食味向上」等に、仲間とつながりながら挑戦して欲しい。
そして、私が経営塾で塾生に発した最後の言葉は、自らに言い聞かせるものでもあった。
そのことばとは・・・「小さくまとまんなよ!」
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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