最近、「上田市地産地消推進の店」に認定された「関精肉店ハム工房セキ」が面白い。
昨年12月に認定され、1月に入って認定鉦授与式が行われた。
【信州産の肉をドイツ製法で加工製造】
この肉屋さんは外観は普通の「まちのお肉屋さん」。
しかし店内に入ると雰囲気が独特だ。
従来通りの精肉販売に加えて、信州産のいのししやポークのソーセージ、熟成ハム、合鴨スモークほか、多くの品目を製造販売している。
なかでも、若い店長がこだわっているのは、ソーセージ・ハムのドイツ製法による作り方。
ドイツにたびたび訪れ製法を学び修行を積んで、信州産の食材を加工製造し販売している。
【ドイツの国際コンテストで金賞受賞】
2016年、試しにドイツのフランクフルトで3年に一度開催されるドイツ食肉協会主催の国際コンテスト(IFFA)に10品を出品。
なんと6品目が金賞、4品目が銀賞という快挙を達成、ずらりと掲示されている賞状がまぶしい。品質は折り紙つきなのだ。
【お肉屋さんがパンやビールを販売】
さらに、この店では、まちの肉屋さんではまずお目にかかれないパンやビール・ワインをドイツから輸入し販売している。
ドイツでは、ソーセージを主食とする食文化があり、食卓にはパンやビールが欠かせない。
輸入したもちもちのドイツパンに自家製の細挽きソーセージをはさんだドイツサンド。
5分ほど待つと作って出してくれる。冷凍のパンとソーセージを買って家で作ってもいい。
ソーセージが日本の常識外の長さで、やはり違うと納得させられる。
【地産地消とドイツ食文化の融合】
ドイツの食文化を上田市民に味わってほしい、という店長の熱い思いが伝わってくる。
我が家でも味わったが、ドイツビールとドイツ製法による上田産ポークソーセージや信州産いのししソーセージは相性が抜群。
ドイツ在住経験者の食べた感想も本場に負けないと評価が高く、上田で信州産食材によるドイツ食文化を堪能できる。
当店のギフトセットは魅力的だ。ビールに合うセット、ワインに合うセット、メダリストセットもある。
関精肉店ハム工房セキの事業の再定義は、「ハム・ソーセージを基軸としたドイツ食文化の提供業」と言えるのではないか。
地域オンリーワンの存在であり、食べた人は「自分とドイツとの関わり」を考えるきっかけになろう。
(そういえば小学校時代、プロレス大好き少年だった私は、カール・ゴッチというドイツ人プロレスラーが大好きだったことを今思い出した・・・笑)
コロナ禍で家庭食を強いられているなか、まちのお肉屋さんが独自のコンセプトを掲げ、スーパーにはない商品や品揃えで差別化し、付加価値を創造している。
行政として、地域のお店を改めて見回し、それぞれの独自性を見出すチャンスととらえ、しっかり応援していきたい(ちなみに、当店のドイツビールは最近、私が一番買っているとのこと・・・ヨシッ!)。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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