藁(わら)と納豆

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前回のブログ「大相撲の土俵は信州産!」を読んだ何人かの読者から、「土俵が信州産とは知らなかった」との声をいただいた。

信州人として、大相撲を裏方で支える職人が同郷人であることを誇りに思う。

そして、その職人が手掛ける土俵とは別の「わらの利用用途」があることを前回述べた。

「わらと○○」、上田産として流通している付加価値の高い農産物である。
それはずばり、「大豆」であり、「納豆」。

【藁(わら)に生息する納豆菌】
納豆菌は空中に浮遊しており、藁に生息しやすい。100度で1分間煮沸しても死なない超耐久性を誇る。

南信州米俵保存会代表の酒井さんが関わる㈱未来いいじまが、藁と大豆とカイロをセットにしたキットを販売している。

納豆キットは小学生の発案で商品化したという。価格は1,100円、私も作ってみ
た。


作業工程は・大豆を蒸す・藁を煮沸消毒・藁を船の形に広げ納豆を詰める・カイロ等で保温・大豆全体に白い膜ができれば発酵した証拠・発酵を止めるため冷蔵庫で熟成。

 【作ってみた感想】
作業工程の中で、保温(40度~60度で18時間~20時間)の加減が難しい。

私は発泡スチロールの箱に入れ、毛布に包みコタツで温めたが、カイロでどうできるか。実験感覚でやるのも面白い。

糸引きは市販のパックより少ないが、味はすっきりして甘みがあり藁の香りもする。手作り感があり満足度大。

納豆菌はパックの納豆になれた私たちには、空中に浮遊していることが驚きだ。

【上田産納豆づくりプロジェクト】
さて、酒井さんが提案する上田市のかかわり方は・・・

納豆キットに入っている大豆が、長野県が開発し塩田が産地の品種「ナカセンナリ」。

この品種は、しおだSUNダイズという生産者グループが栽培し納豆加工業者に販売しているもので、この業者のアドバイスで「ナカセンナリ」を使っているとのこと。

ならば、上田市塩田地域は米と大豆と藁が豊富なので、㈱未来いいじまと連携し藁納豆をつくったらどうか、という提案をいただいた。

生産者グループは、もちろん前向きに検討するという。

そこで、さらに私が思いついたのは、保温では別所温泉の「温泉を活用」できないか検討すること。

お客様に宿泊時、藁に蒸した大豆を詰めてもらい、朝に朝食で藁から取って食べてもらうのはどうか。

温泉の保温をどうやるかは旅館館主にも加わってもらい考える。目途が立てば地元の小学生にも食育で食べてほしい。

普及するには長野大学学生グループにも声を掛けたい。

そこで、関係するダイズ・藁生産の「しおだSUNダイズ」、酒井さん、地元の料理研究家、温泉旅館館主、長野大学生グループらで、上田市農産物マーケティング推進室が仲介しプロジェクトチームを組成したい。

酒井さんが飯島町から参画してくれる、心強い。
全ては、「人の結集」だと思う。

コロナ時代、「(仮)信州塩田わらと納豆研究会」を行政が主導して立ち上げ、持続可能な食文化の形成を粘り強く作っていきたい!

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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