山小屋のコーヒー

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この連休中、娘に案内してもらい、妻と3人で山小屋のコーヒーを味わいに出掛けた。

目指すは、信州諏訪市・霧ヶ峰の主峰「車山」にある小さな山小屋「ころぼっくるひゅって」(1,820m)。

快晴の朝、眼下に諏訪盆地や山なみを展望しつつ、ビーナスラインを風を切って走る。爽快だ。オープンカーならもっと・・・、と贅沢な欲求が浮かぶ。

オートバイライダーが思いのほか多い。風を突っ切って、エンジン音を起爆剤に高揚する精神を堪能するライダーたちはさぞ気持ちいいだろう、と嫉妬を覚える。

自粛は長期化すると、動物としての行動力を鈍らせる。外に出て、自然環境を五官で感じることが大切だ。

朝8時から開いている山小屋は、既にお客で埋まりかけている。

さっそく眺めの良い席を確保し、ボルシチとパン、そしてお目当てのサイフォンコーヒーを注文する。

コーヒーはリラックスタイム用の飲み物だけではない。自然の中で精神を覚醒させる最適な飲み物でもある(と思う)。
 

私は2,000m弱の山地にたたずみ、遠くに白い頂が連なるアルプス連峰を見つめながら、熱くて美味しいボルシチを一気に胃に流し込み、コーヒーの香りと苦みを味わう時、からっぽの心にさて何が浮かぶのか・・・。

わかってはいたが、ボーッとしていただけである。すぐ浮かぶものではない。
多分、時間をかけて発酵してくるのであろう。

確信的に思っているのは、「この場にたたずむことが大切」ということ。 

山から「気」をもらいつつ、コーヒーからは「前期高齢者の覚醒」が発酵するようにもたらされればと願う。

このヒュッテを勧めてくれた娘から一人ボーッと遠方を見つめている私に声がかかった。「お父さん、コーヒーはどうだった?」。

「美味しかった」と普通に答えたが、「充実したひと時だった」と言い忘れたことを謝りたい。ゴメン!

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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