仕事がら、「信州黄金シャモ」に関わった。
生産者の大沢農園さんが、「コロナ禍こそ地産地消に貢献したい。ついては、地元の小学生に食べてほしい」
との申し出を受け、給食として提供することになった。
お父さんがシャモ、お母さんが名古屋種で信州にて開発。普段なら高級食材なので、家では滅多に食べられない。
打合せで農園に伺った。
平飼いで動き回り、高品質のエサを食べ元気なのは知っていたが、ハウスの衛生管理も徹底している。
美味しい肉質に育ち、鶏(にわとり)が自信に満ちて生きているのだ。
なぜそう感じたのか。
信州黄金シャモを一目見て、その「眼光に圧倒された」からだ。
その眼は私にこう語りかけてきた・・・。
「人間は今、相変らずコロナで大騒ぎをしているな!」
「俺たちは、もっと前から鳥インフルエンザというけた違いに恐ろしいウイルスにさらされている」
「かかれば、鳥小屋の仲間全員がみな殺しだ」
「わかっているんだよ。生産者はしっかり清掃し、衛生管理をしてくれているんだが、やむを得ずかかってしまうことがあることを」
「だから、いつ何があるかわからないからこそ、仲間同士で勇気づけ合い、しっかり元気に生きているんだ」
「おい!お前は元気か、と強い眼で励まし合っている!」
「こんど、俺たちのオヤジの大沢さんから、近くに住んでいる小学生たちに食べてもらって、彼らを元気にしてほしい、と頼まれたんだ」
「任せておけ。俺たちの命は食べてもらう人、みんなのためにある。みんなを元気にしてやるからよ!」
ふっと我にかえり、黄金シャモのするどい眼を見つめ返した。
そうだ!私たち人間は、見えないウイルスの存在に日常的に脅(おび)え、怯(ひる)み、自粛して閉じこもり、生きるのに本能的に欠かせない「鋭さ」「強さ」を忘れていると。
かからないことが最善の生き方なんかじゃない。
たまたまかかった人も、たまたまかからない人も、このような時だからこそ、お互い鋭い眼で励まし合わねばならないのだ。怯むなと。
「目」は一般的に広く使われるが、「眼」は眼球のみを表す言葉のほかに、観察眼や心理眼、千里眼など、ものごとの本質を見抜く力、見極める力など、人間の洞察力を表す言葉でもある。
やさしい洞察力はない。「鋭い洞察力」である。だから「眼」は時として鋭い。その眼を持って、お互いを支え合おう!
鋭い眼を持った黄金シャモの命に出会い、コロナ禍で人間として大切なことは・・・
「見えない相手におびえるな、本能的に野性的に強く生きること」
「見極める力である眼を持って鋭く洞察し、支え合うこと」
信州黄金シャモ、そして大沢さん、気づかせてくれて有り難うございました。
小学校の給食はもうすぐである。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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