コロナ禍と農協

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近頃、私が関わる「ながの農協」の情報誌に短文が掲載された。

読者から少なからず反応があり、農協の許可を得たので、転載する。

題して、「コロナ禍と農協」。

時代の転換点において、全国の農協が「コロナ時代の農協」を考えるきっかけになれば・・・。
                                 

「コロナ禍と農協」    
監事(ちくまブロック)長谷川正之

昨年四月、新型コロナウィルス感染症に襲われたイタリアで、ある若い作家が「コロナの時代の僕ら」という本を出版した。

その中で「増殖する人間が森林破壊を加速させ、ウィルスの住みかを奪えば奪うほど、人間は体内を住みかとして提供するしかなくなる」

「人間は仲間をつくりどこまでも移動するので、ウィルスには理想的な引っ越し先」という記述があった。

資本主義、特にいき過ぎた新自由主義による環境破壊やグローバル化がコロナ禍をもたらしたのではないか。

また、最近インドの宗教家・ガンディーの文章に出会った。

彼は鉄道を批判して「鉄道の導入によって、人々はゆっくり歩くことを忘れ、遠くへ行くことに価値を見出すようになった。

自分の作ったものも、身近なところで売るより、より遠いところではより高く売れる」

「その結果、人々は隣人の存在を軽視するようになった。
疫病のパンデミックが起きるのも、人々が遠くまで簡単に移動できるようになったからだ」。

彼は現在のコロナ禍が起きることを鉄道導入時に予期していた。
そして、近くにいる人たちとの支え合いを重視するよう主張する。

私たち農業協同組合は、コロナ禍の今こそガンディーのことばを胸に刻み、直売所を含め「地域の人たちとの支え合いに価値を置く組織」であることを自覚したい。

そして私は、今年は地区の副区長で来年は区長。

近くの人たちと支え合う共同体をしっかりつくっていきたいと思っている。

                                       

参考:ブログ2020/5/12「コロナの時代の僕ら」を読む
https://agri-marketing.jp/2020/05/12/post-9341/

■パオロ・ジョルダーノ著『コロナの時代の僕ら』早川書房2020年4月

■M.Kガンディー著『真の独立への道』岩波文庫2001年9月

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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