昨年、私と妻は我が家の隣の耕作放棄地を借り、100坪ほどの家庭菜園を始めた。
業者に伐根・伐採・整地を頼み、ウキウキしながら・・・。
が、さっそく落胆するはめになる。
というのは、雨が2日~3日降るともうダメ。畑が水浸しになり途方に暮れた。
周りは田んぼで、この開墾畑ももと田んぼ、無理もない。家の敷地から1メートルも低い土地なのだ。
そこで、私は順次、二つの大きな決断をすることになる。
【その決断とは】
まず最初に、溜まった水を汲み出す自吸式エンジンポンプを購入したこと。
人力では、前期高齢者には負担が大きい。2~3回使ってみたが、機械オンチの私でも扱える。
もう一つは、周りを畔(あぜ)シートで囲ったこと。
周りが田んぼで、我が畑ももとは田んぼ。もともと、ねんど土で水はけが悪い。
畔を越えて水が入ってきたことに驚き、今年の春、業者に下水道工事のついでにやってもらった。
妻のリクエストなのでNOはありえない!
エンジンポンプ代と畔シート作業費用はそれなりの負担だが、思えば安いもんである。
なぜなら・・・、妻の日々の農作業は、彼女に精神の安定をもたらす最も重要な営みであるから(ほんとにそう思う)。
そして、今月の大雨を迎えたのだ・・・
【8月の実際の水害は】
お盆中降った雨の被害は、水路がゴミで詰まって道路にあふれたカ所があったものの、大したことにはならなかった。
さて、我が畑はどうだったのか・・・
イヤ~、参りました。
シートで囲ったせいで、かえって周りより水位が上がって見事なプール状況!
中小企業診断士の私は、悲観シナリオとして想定はしていたが、バシッとハマってしまった(残念)。
しかし、打ちひしがれてはいられない。アクションプランはできている。
自吸式エンジンポンプを動かし、吸水用のホースをセットして作業開始。
約2時間で水が引けた。
【見えてきた課題】
プール畑の浸水吸引をしばし眺めつつ、課題が見えてきた。
まず、畝(うね)の向きを南北にしたのだが、東西のほうがスムーズに水が流れ吸引が効率的になると思うのだ。
来年の春の農作業時に取り組もう。
次に、肝心の植える野菜の品目について。
昨年の浸水の反省から、夏野菜等は水害の影響を減らせるよう畝を高くして何種類か植えた。
結局、プール畑になり影響を受けたのだが、水に弱い品目と強い品目の区別もはっきりしたのである。
我が家の畑に限っていえば
・水に弱い品目:ジャガイモ、トマト、シソ
・水に強い品目:オクラ、ナス、(ネギ)
と明確に分かれた。
水に弱い作物でも強い品種があるかもしれず、探す手もあるが、私は淡白な性格なのでその努力は遠慮する。
水に強い品目は、オクラにナス。浸水中でも生き生き成長している。
大したもんだと感心する(ネギは微妙)。
ちなみに調べてみると、オクラはアフリカが原産、ナスはインドが原産とある。
高温多湿を好む作物なのだ。里芋も植えたい(同じくインド原産)。
来年は、トマトとシソはこの畑には植えない、可哀そうである。
「雨の環境下にわざと置き、虐待している」かの思いが募り、心が痛むのだ。
ゴメンなさい。家の菜園に植えて安心して育ってもらうことにする。
【そして豊かな気づきも】
大雨による「浸水プール畑」だからこそ、気づいたこともある。
一つは、エンジンポンプを使うには長いホースを取り付ける手間がかかるので、人力も併用することになる。
そこで、バケツによる汲み出しが体力増強に役立つのだ(そんなことで、ごめんなさい)。
久しぶりに腰が痛くなった。
でも疲労でよく眠れ有り難い(普段より強いアルコールが眠気を誘った主因かも、たぶん)。
なんと、予期しない「ザリガニ」!
二つのはさみを振りかざし、威嚇している。
私は、ここでザリガニがなぜ私の前に現われハサミを振りかざしているのか、その意味を見出そうと頭を働かせる。
が、浮かんだのは、私の「まっすぐ歩かず横歩きのようなあまのじゃくな人生」も、ザリガニからしたら「それでいいんだよ、しっかり歩けよ」、と叱咤激励してくれている、という達観(?)であった。
ザリガニと自分の人生を重ね合わせて考えることなど平時ではあり得ない。
私にとってとても豊かな気づきであった。
そして、今回の水害がもたらしてくれた一番の恩恵は・・・
すぐ枯れてしなびてしまったトマトやシソにガッカリしていた私に力を与えてくれたもの。
可憐で清浄な「オクラの花」である。
ハイビスカスにも似て、とても美しい。
それもそのはず、オクラもハイビスカスも「アオイ科」で、同じ仲間。
朝咲いて、午後にはしぼんでしまう。
オクラのネバネバが好きで、納豆に混ぜてよく食べるが、花は注目したことがなかった。
こんな泥水のプール畑に凛として咲いているとは・・・。
きれいだな~と、しばし黙って見とれていた時間が尊い。
オクラから、ネバーギブアップの心と、「豊かに生きるとは自然を素直に見つめる心を持ち続けることだ」、と教えてもらった気がする。
水害だからこそ気づかせてくれたザリガニとオクラに、重ねて感謝する!
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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