先日、職場からの帰りまぎわのこと。
市役所の仕事仲間から思わぬことを言われ、なんとも言えず嬉しい気持ちになった。
そのことを記す。
地元JAに派遣されているその市役所職員は、いろいろな方と交わっている。
最近、彼のところに安曇野市にある(有)あづみ野食品のAさんが訪ねてきて、話していたら私の名前が出たとのこと。
「長谷川さんとは県庁職員時代に一緒に仕事をしたが、是非また一緒に仕事をしたい」と語ったという。
私は、すぐ彼の顔と名前がよみがえった。
一緒にやった仕事とは、8年前に6次産業化商品「アルクマそば」の新発売につき、県も関わった発信の取り組みのことである。
その商品は、松本大学健康栄養学科の講師がそば粉の残さ(残りかす)の活用技術を開発。
そのそば粉をフライ麺として(有)あづみ野食品が製品化。
そのつながりから、JR東日本長野支社がパッケージデザイン(当時、県観光PRキャラクター「アルクマ」の版権を保有)や駅構内他での販売に協力するという事業。
県農政部は、長野県の統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」としてパッケージに明記し、長野県の食材商品を積極的に応援する。
私が所属していた農産物マーケティング室は、強力な6次産業化商品のお披露目を演出すべく、県庁3階に記者を集め発表会を行った。
1次(そば生産):斉藤農園
2次(商品化):松本大学、(有)あづみ野食品、JR東日本長野支社、県農産物マーケティング室
3次(販売):JR東日本長野支社
全体の発信を農産物マーケティング室が支援。一大プロジェクト的な取り組みとなった。
当日の発表会は、関係者が一同に揃い私が司会を担当。
きめ細かく段取り等を準備した。関係者が多く、調整役はそれなりに大変で責任重大であった。
発表後注文が相次ぎ、その夜には在庫0となったという記憶がある。その後、アルクマそばクッキーほかの土産品シリーズに発展していく。
私も、振り返ると、県職中で指折りの仕事だったと思う。
大企業が単独で行う食の事業は、地方では難しい。「規模の利益」が追求できないからだ。
それに対して、民間中小事業者は持ち味を発揮し連携することで事業化ができそうに思える。
そこに自治体が関わることで、安定的な事業に発展して行くよう仕掛けたい。
しかし、私はその後、上田市役所で仕事をしているが、単独事業者が6次産業化を試みた事例は知っいるが、いくつかの事業者が連携しての新商品開発・販売の取り組みはほとんど目にしていない。
やはり、実現にはハードルが高いのだ。
それだけに、Aさんも私も、「アルクマそば」事業は強く印象に残っているのである。
Aさん、8年も前の私との仕事を思い出してくれて有り難う。
素直に当時の自分の仕事ぶりが評価されたと思い、嬉しい気持ちになった。
これからも信頼され期待に応えられるよう、当時の情熱を忘れまい!
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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