見かけと中身(1)

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最近、ある選果場に所用で行った際、隣接する直売所で規格外のリンゴが格安で売られており、ちゅうちょなく購入した。

その産地のものを食べたかったことと、財布の中身との相談の結果である。

販売担当のおばちゃんが、笑顔でおまけ4個(写真の箱外のもの、一個はナシ)を付けてくれた。

この小さなサプライズが顧客満足度をアップさせるのだ」とどこかで話そうと思った・・・が、話はこれから思いがけない方向に展開していく・・・。

家に持ち帰り、早速小さなおまけのリンゴ(箱の外)から食す。美味しい。
やはり、産地のりんごは違う。ならばと、箱の中のリンゴを取り出す。

800円という格安だから少しボケ気味ではと思うが、切ってみる。

食べるとこの品種「シナノスイート」独特の甘みの中にもほどよい酸味があり、「柔らかい甘み=スイート」という命名に合点がいく。

妻と一個を食べきり、安く美味しい買い物をした私を珍しくほめてくれた(このところない行為)。


夕食後、妻のほめ言葉が心地よかったので、お茶を飲みながらもう一個「スイート」を食べたくなり、切った。

ここからが、想定外だった・・・。なんと切った中身がこれ。

エッ!ななんなんだ。乱れた呼吸を整える。
まあ、安いのだから仕方ないではないか。と自分に言いきかせる。

そして、少し不安がよぎる。他のリンゴは大丈夫なのか。
よし、いくつか切ってみよう。

ボケ気味ではと感ずるリンゴを選び、切ってみた結果は・・・4個中3個が腐っていた(掲載写真以上に)。

ガーン(全体の写真は省略。あなたの食事に差し障ると思うので)。
まだ残り3つは中身が判明していないのだが、切るのはやめた(更なるダメージを回避するため)。

格安で旨いリンゴを選択購入したと思っていた私は、妻にもほめられ、心が軽やかだったが、一気に奈落の底に。

いい部分のみ切り分けて、タッパーに入れ冷蔵庫に保管した。
一連の動きを眺めていた妻は終始無言・・・(こわい)。

翌日、沸々と湧いてくる感情のなか、人を介して果樹に詳しい農協の営農技術員に聞いてもらうと、このリンゴの病気は「芯カビ」というらしい。

生産者は樹から収穫する時、リンゴ表面のワックス(ヌルヌル)やボケ具合からわかるそうなので、普通は流通に回さないという。

ならば、なぜこのリンゴが選果場に隣接する直売所で、選果外品として持ち込まれたのか知りたくなった。

お客が自分で選んだのだから自分に非がある、という主張もあるだろう。
しかし、これだけ腐っていると、苦情としてトラブル場合もあると思う(返金を含めて)。

製造物責任は、基本的に生鮮には当てはまらないというが、確実に購入者の心情を害するし、信用失墜になりかねない。

ここは原因を確認し、次の改善につなげるお手伝い(おせっかいだが)と思っている。

そんなことがあったやさきに、今度は私自身が生産者として問われる立場になる。

何が起こったのかは・・・次回に。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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