「自治体の農産物マーケティング」とは何か!

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あなたは、「インターンシップ」をご存じですか。
学生が興味のある企業などで実際に働いたり、訪問したりする職業体験のこと。

学生側・企業側のどちらにもメリットがあり、インターンシップを受け入れる企業は増えている。

【インターンシップでの仕事の説明】
先月、上田職業安定協会、商工会議所、市役所等が組み、共同で「上田地域パッケージ型インターンシップ」を開催した。

5日間で様々な事業所や上田市役所の各部署業務などを体験できる取り組み。

コロナ禍の中、オンラインでの開催となり、私が勤める農産物マーケティング推進室も参加した。担当者は私で、パワーポイントによる説明。

【感想文から分かったこと】
約1時間説明し、参加者22人から感想文が寄せられた。自分で言うのもおこがましいが、好評だったようだ。

説明したのは、こんな項目についてである。


感想文を読んで、考えさせられることがあった。それは何か・・・

「マーケティングという言葉を初めて知った」「何をしているのか、よくわかった」という反応が多くあり、そもそもの「行政の農産物マーケティング」とは何か、に関心があったということであろう。


【「行政の農産物マーケティング」の定義】
まず、「マーケティング」とは何か?ネットで調べれば、山のように出てくる。

「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生みだし、顧客にとどけ、そこから利益を上げること」

とか、超簡単には、「売れる仕組みづくり」とかである。

私が採用している定義を紹介しよう。
岩崎邦彦著『農業のマーケティング教科書』日本経済新聞出版社、2017年によるものだ。

マーケティングとは・・・「顧客を生み出す活動」である。

では、農業マーケティングとは・・・「農と食をつなぎ顧客を生み出す活動」である。

そして、「自治体の農業マーケティング」とは・・・(仮)の定義として(著書にはないので)
農と食のつなぎ役として、顧客を生み出す活動を支援すること」である。

【マーケティング部署がある県内自治体はいくつあるか】
ちなみに、長野県内の77市町村のうち、「マーケティング部署」があるのはいくつか、調べてみた。

ネットで県と77市町村の組織図を見るとなんと・・・
長野県庁の「農産物マーケティング室」と、M市の「マーケティング担当」のみ。

県内に限ってではあるが、自治体にはマーケティング部署はないといっていい。

ならば、「農と食のつなぎ役として、顧客を生み出す活動を支援する」上田市の農産物マーケティング推進室は、まれな存在ということになる。

私は県と上田市の両方のマーケティング部署に勤めており、希な存在ということか・・・笑。

私が勤めて2年目(今から5年前)に、農産物マーケティング係から室に格上げとなったのだ。

その後、取り組む事業(業務)は変遷しているが、現在の主な事業をあなたに紹介しよう。

【具体的な業務】
主な事業は6つ。


コロナ禍で、昨年今年と思ったような事業が展開できずはがゆいが、基本を押さえてそれなりに実行している。

個々の説明は略すが、インターンシップの学生たちはそれなりに理解したようだ。


最後に学生の感想文から二つ紹介する。

「公務員と聞くと、少し硬いイメージがあったが、今回説明していただいた長谷川さんのように明るい方もいることがわかった。説明から上田地域の食をとても大事に思っていることが伝わった。」

「お話頂いた業務内容と、それについてお話されている様子を見て、とても楽しそうだったというのが率直な感想である。」

学生たちとは歳の差が45歳ほどだが、体感で受け取ってもらったようで、素直に嬉しい・・
さて、さて、もうひとぶんばりするとしよう!

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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