2017年2月11日のブログ「10発10中のコツ」を読んでみる。
なんとも仰々(ぎょうぎょう)しいタイトルをつけたもんだ・・・。
最近、開発中の新商品(ニンニク入りのタレ)をテストマーケティングしました。
土産物店に並べて顧客の反応を確認し、同時にアンケート調査も実施した時の会話です。
開発リーダー(三十路前の女性、以下リーダー)と私の掛け合いはこんな感じでした。
リーダー:長谷川さんのアンケート調査は100発100中ですね。
私:そうかなぁ、そういえば他の調査を含めて、断られた経験はほとんど無いかも。でも100発も経験はないので、10発にしておいてよ。
リーダー:わかりました。若い者にもコツを教えてください。
【ふつうは】
リーダー:ふつうは、「すいません、アンケート調査にご協力いただけますか」「ちょっと、時間がないのでごめんなさい」「はい、わかりました」なんて調子で何回か断られますよね。
私:そうだね。そういう経験をしながら見つけるんだけど、回答してもらえるコツは・・・あえて3つかな。な~んだ、そんなことかって、言わないでね。
リーダー:わかってます。大丈夫、信じて(笑)。
【一つ目のコツ】
私:見るからに忙しそうな人は避ける、というシンプルなコツ。当然、瞬時に観察し、まず会話を受けてくれそうな人を選ぶ。
該当する人は、経験上10人中7人くらいかな。調査時間の制限もあり、そんなに選んではいられないからね。
リーダー:そうか、私なんか誰でもまずアタックしちゃう!アクションファーストなんちゃって。
断られても気にしないもん。
私:その精神的なタフさがあなたの武器。ホントこちらが見習いたい。
リーダー:次のコツはなんですか。
【二つ目のコツ】
私:「1~2分(いちにふん)で結構ですが、お時間よろしいでしょうか」という、入りのトークかな。
短い時間をはじめに伝えるのには、理由があるんだよ。
相手にとって、特に女性は還暦過ぎのおじさんと5分も話すのは苦痛以外の何ものでもない、ということを私自身が知っているから。
ソクラテスの「無知の知」です。チョー短時間しか相手にされないことを知っているから、謙虚に、答えてもらえるよう必死に努力するってな感じ。
リーダー:ソクラテス?何言っているのかわかんない、ごめんなさい。
私:ウ~ン、言いたいことは・・・私がW三浦だったら苦労しないということ。
わかるでしょ、春馬はイケメン、友和はダンディ。彼らならこんな入りのトークは使わず、堂々と話しかけるよ。私では無理でしょう。
リーダー:そんなことないって言ってほしい?(笑)、そんなことないですよ!
【三つ目のコツ】
私:うそでもありがとう!(笑)。
最後のコツは、スピーディーに会話を進めることだな。相手の時間をいただいているからね。
これは覚えておいてほしい。私たちは仕事で調査をしているけど、相手は自らの貴重な時間を費やしてくれているってことを。
また、アンケート調査は、ある一定の母数を確保するのが狙いだからね。
時間をかけて深く聞くには、モニター調査って方法もあるしね。
リーダー:なるほど。アンケート調査は、相手の立場や心理を大事にするってことが少しわかりました。他に何か気をつけることはありますか。
【よく使う手】
私:「回答してくれたら粗品をプレゼントします」って最初に言ってしまう調査員も多くいるよね。
リーダー:私もそうなんです。そのように言えば、回答してもらえる確率が増えるじゃないですか。
インセンティブとして、粗品は有効って教わりました。
私:間違いじゃないけど、注意が必要と思う。
相手によっては、粗品と聞いて、何ですかと平気で聞いてくる。気に入らないと断るなんてことも起こるよ。
それより、貴重な時間をアンケートの回答にお願いするという、真摯な態度の方が受け入れてもらえると思うんだ。
リーダー:なるほど。じゃ、粗品はどうやって渡すんですか?
私:私は最後に、「些細なものですが、有難うございました」と言って渡す。
相手にとってはサプライズなので、どんなものでも「いいんですか」って感謝されるよ。
お互いにハッピー。
【本音】
リーダー:長い話になってしまって、ごめんなさい。最後に何かありますか。
私:経験上、調査員が男性なら女性を相手に、女性なら男性を相手にトライすると、回答率は上がるね。本音を言えばその方が、調査員も生き生きと取組める。
やはり、異性(いせい)の方が元気よく話せる。なぜか知ってる?
そう威勢(いせい)がいいんです。
リーダー:最後はやっぱりオヤジギャグが出ますね。長谷川さんは1~2分が会話をスムーズに行う限界、って言っていることがよくわかりました(笑)。
このリーダーは20歳代の明るく元気な女性。
プロジェクトを組んで商品開発をおこなったときのシーンである。
ちなみに、彼女はこの組織を辞め、現在は保育士として活躍している。
さて、読み返してみて、3つのことが頭に浮かんだ。
1.ノウハウの共有化
ここでは、路上でのアンケート調査のやり方のコツとして3つ挙げている。
どれも私が自ら体験したことで、あたりまえのことを整理している。
チームでやる場合は、このノウハウの共有化が役立つ。
その上で自らのオリジナリティーを加え、さらにバージョンアップし、チームの成果につなげていく。
2.「無知の知」と「know who」
二つ目のコツで、ソクラテスの「無知の知」をいっている。
還暦過ぎのおじさんである私がアンケート調査で話しかけた女性に、どうやったら5分以上付き合ってもらえるのかわからない(知らない)、ということを私は知っている。
チョー短時間しか相手にされないことを知っているからこそ、「会話の入りのトーク」の工夫や「スピーディーな会話」を心がける。
さらに思うのは、「知らないこと」は問題ではない。
時代変化が早く、知識がどんどん更新されるなかでは、自分で知識を蓄積するには限界がある。
パソコンやスマホで調べれば瞬時にわかることも多い。
また、断片的ではなく体系的に深く知りたい場合は、「そのことを知っている人」を知っていることが大変重要。
言葉で表せば「know who」。
いろいろな他分野の人たちとの普段の付き合いがより価値をもたらすと思うのだ。
3.「時間」は貴重な価値
三つ目のコツで述べた「スピーディーに会話を進める」のはなぜ必要か。
私たちは仕事で会話しているけど、相手は予定外の会話。
相手は自らの貴重な時間を費やしてくれている。
ならば、相手の時間をむやみに奪ってはならない。
スピーディーに会話しすぐ反応することが、相手の時間を尊重することになる。
「返事が遅い」人は、相手が次のアクションに移れず迷惑をかけていることに気付くべき。
この「時間価値」については、4年前にブログ「スピードが感動を呼ぶ」に書いている。
次回はそのブログを読んでみたい。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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