2016年6月30日のブログ「プロデューサーということば」から。
田中良介さんのブログ「レーザービーム農業」を読んで思い出し、気楽に考えたことを記します。
若者がわいわいカッコよく農業をやるにはどうしたらよいのか。
かっこいい農業をもっと大胆に追及しないと若者を惹き付けられない、という意見をこのところ多く耳にするようになりました。
私なりに「カッコいい農業」を考えるようになったきっかけは、20年ほど前かと思います。ある方が新聞に寄稿した記事を読んだ時からです。
覚えている「未来の農業」と題した(たぶん)その記事のエッセンスは・・・
「都会から田舎に、週末農業に行くのがトレンドです。カッコいい車の後ろにカラフルにデザインされた農機具を載せ、農場に着くと、ファッションセンス抜群の作業着を身に着けファーマーに変身。
日が落ちる頃、家族や仲間たちと採れたての野菜や地元の肉を使ってワイワイ料理をし、美味しい地元ワインで乾杯!」といったシーンだったと記憶しています(だいぶ前なので、私の創作が混じっているかと思います・・・悪しからず)。
このシーンで何が新鮮だったかというと、「農業がファッションとつながる」という点です。
今は、作業着や農機具もファッション性を意識したものが出回っています。
また、農作業は人手から機械化されており、私の知っている若手農業者は、カッコいい農業用トラクターが発売されれば乗ってみたいと言います。
また、ジーパンに茶髪のしゃれた若者が農業をやっています。
一方、今の若者文化といえば、映画・音楽・ゲーム・アニメ(漫画)・ファッション等です。そこに農業がどう関わっていくかです。
この中では、「農業漫画」が目立っています。私は「銀の匙」「もやしもん」くらいを少々で、カバーしていないマンガが多く出ています。
ゲームでもかつて流行った「たまごっち」や、ゲームで育てた野菜が実際に家に届く「畑っぴ~里山くらし~」ほか、農園ゲームアプリなど多くあります。
60歳過ぎたオッサンは、なかなかついていけませんが・・・。
このような、若者文化の動きを考えている時、英語の通訳をする方と会話していて気づいたことがありました。それは・・・
英語が苦手で話さない(もとえ、話せない)私は、農業者(農家)はfarmer 農業はagriculture という単語しか頭に浮かばないのですが、英会話で普通に使われるというある単語を教えてくれました。
それは・・・
「プロデューサー」という単語です。
producerは単に「生産者」という意味(辞書で確認しました)で、海外では会話の中で普通に、りんご生産者は apple producer ぶどう生産者なら grape producer と表現するとのこと。
ところが、「日本語化したプロデューサー」は、映像作品や広告作品、音楽作品等の制作全体を統括する責任者を指します。
そこから私が考えたことは、日本人の会話の中でも、単純に農業とか農業者という抽象的な言葉は限定し(今までの私の文章でも気楽に使っていました)、自分が生産している農作物を明示して、○○〇プロデューサー(生産者)と名のる。
言っているうちに「日本語化したプロデューサー」を意識した行動をするようになり、「レーザービーム効果」を出すということです。
例えば、アップルプロデューサー(りんご生産者)なら、リンゴ園では好きなAKB48のノリノリミュージックやリンゴのかぶり物のコスプレ女子がお相手します。
リンゴを食べながら「銀の匙」を読んだり、リンゴを片手で握り潰したら無料、などリンゴ園を演出した舞台を作り、プロモーションビデオを作成してPRします。
しかし、この程度では、「日本語化したプロデューサー」の行動とはいえませんが・・・。
そこで、諦めないでやることがあるのです。それは何か。
異分野の、映画・音楽・広告などのクリエーターと付き合い、助言を受け、気付くことです。
いろんな分野の方達とつながる必要があります。
それには、個人では心もとなく、仲間同志でやるのです。
ここでの整理は、
自分は農業をやっているとか、農家ではなく、「日本語化したプロデューサー」の意味を込め、例えば「ライスプロデューサー」(米生産者)と堂々と言えたらいいですね。
そして、いろんなクリエーターと付き合い、映像・音楽・広告等その演出を仲間と徹底的に考え行動しましょう。
中途半端なアマチュア的な行動ではなく。なぜなら・・・
⇒そう、生産者=プロデューサーには、プロという自覚(字画)があるからです。
⇒そして、プロデューサーこそがアグリカルチャーを形成していくのです。
6年前の文章だが、書いた後も「○○プロデューサー」という名刺に出会ったことはない。
私は、このプロデューサー=生産者という意味を今はこう考えている。
生産者は単に農産物を作るだけではなく、作る過程でどういう顧客に食べて欲しいかイメージし、どうつながるかをはっきりさせて、その「つながり」づくりを含めて「生産する人=プロデューサー」というのだと。
ドラッカーのいう「顧客の創造」を目指す「プロデューサー」なのだ。
最近、「『農家はもっと減っていい』―農業の「常識はウソだらけ-」久松達央著・2022年8月30日発行、という刺激的な本を読んだ。
パラパラと目次を見ただけで、
「これからの日本は凄まじいスピードで縮んでいく」
「耕作を放棄する勇気を」
「新規就農者はなぜ失敗するのか」
「有機農業は技術的に遅れている」
「まだ見ぬ理想の販売方法」
「農業者が育つ三条件」他、
刺激的な文字が並ぶ。
次回はこの本を取り上げ、「プロデューサー」との関連で論じてみたい。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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