「地方創生とSDGs」(1)「持続可能」を考える

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4ヶ月ぶりに、ブログを再開する。

フェイスブックでは身近なことを単発で発信していたが、「考えながら記す」気分が戻ってきた。

先日、関西のある大学院で「地方創生とSDGs」と題して講義をする機会に恵まれた。

私が県庁職員や市役所職員時代に関わった地方創生の事例をもとに、SDGsとの関係を考える内容である。

今、振り返って、改めていくつか考えたことをここに記す。

【サステナブル(持続可能な)というワード】
2015年にSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が採択されると、様々な場面で「サステナブル=持続可能な」が使われるようになった。私も使っている。

一気にこの言葉が広がったのは、多くの人が地球温暖化で熱波・森林火災や台風・洪水・食糧不足他の甚大な災害をまのあたりにして、否応なしに地球環境危機を肌で感ずるようになったからと思う。

このまま地球温暖化を放置していては、地球がもたない、人類の未来も危うい、大変なことになる。

「持続可能を模索するしかない」
という危機感を少なからずの人々が共有できたからではないか。

【「持続可能」を考える】
新自由主義がはびこり、スマホ片手に「今だけ金だけ自分だけ」の自己中心的な刹那的風潮が当たり前になりつつあるとき、次世代に責任を持たなくてどうするのか、1人1人が試されている。

そこで「持続可能とは、どういう思考をすることなのか」、あえて思いつくことを挙げてみたい。

そこから、具体的アクションが見えてくると思うからだ。

【持続不可能を考える】
まず、「持続不可能とはどういう状態か」を考えることから始める。

資料を調べ、地球温暖化他の深刻な状況を知ること。そこから危機意識を多くの人と共有したい。

気をつけるべきは、「思い込み=自分が正しい」と、他者の意見を排除してしまうことがおこりえること。多くの人との議論を閉ざしてしまわないよう注意する。

【共生社会を考える】
人間は自然の中の存在の一部である。

多くの生物、微生物等と共生していることを根底に置くことが重要。
自然全体の持続可能性」という基本的な視点が見えてくる。

そして、アニミズム(animism)、すなわち「人間以外の生物を含む、すべての物のなかに魂が宿っているという思想や信仰」とのつながりの大切さを考えたい。

【足るを知る】
満足することを知っていてそれ以上求めないこと。
人間の欲求や欲望はとどまることなくいくらでもわいてきてしまう。

そして大量生産大量消費が常態化し、地球環境危機に至る

地球環境資源を守るためには、人間が「足るを知る」ことが必須であり、それが精神的には豊かであり幸福であると認識することだと思う。

先住民は、狩猟をするが、奪いすぎたら枯渇してしまい人間が生きられなくなることを知っている。

与えられる以上は奪わない。共存するためのルールを守っているのだ。
地球の生物多様性の80%は先住民族が管理する地域で発見されている。

改めて、先住民族の思考や行動に光を当てたい

【経済成長だけでない新たな指標を掲げる】
1930年代、米国の経済学者サイモン・グズネッツがGDP(国内総生産:経済成長尺度)という指標を紹介したとき、こう警告した。

「国の繁栄の度合いを国民所得から推し量るのはほぼ不可能だ」と。
そしてノーベル賞のスティグリッツも「GDPを過信すると、社会と生態系に起きていることが見えなくなる」と論じた。

そこで、今注目されているのが「ウェルビーイング・エコノミー」幸福経済の重要性である。

OECDが発表した新しい指標「より良い暮らし指標(BLI:ベターライフインデックス)」で各国を比較すると、新たな気づきがあると思う。

以上、持続可能を考えるとき、「持続不可能とは」「共生社会とは」「足るを知るとは」「GDP以外の幸福指標とは」がキーワードとして浮かんでくる。

そんなキーワードを使って、「地方創生とSDGs」についてこのブログでしばらく記していきたい。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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