「地方創生とSDGs」(2)CO2排出問題

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前回は、地球環境危機において、「持続可能とは何か」について、その方向性を考えた。

2回目は、気候変動の主因である地球温暖化、とりわけCO2排出問題について考える。

【重要参考書2冊】
はじめに、私が考える際に参考としている主な2冊を紹介する。

・「資本主義の次に来る世界」ジェイソン・ヒッケル著、東洋経済新報社、2023年5月4日発行。

・「Earth for All 万人のための地球 『成長の限界』から50年 ローマクラブ新レポート」丸善出版、2022年11月30日発行。

大変多くの示唆を与えてくれるお薦めの書。

【産業革命が発端】
世界のCO2問題を考えるとき、産業革命が起点となることに反論はないであろう。

産業革命→経済成長→人口急増→地球温暖化という歴史的な大きな流れが湧き起こった。

1760年頃、英国で蒸気機関が開発され、石炭利用によるエネルギー革命が起こった。
蒸気船や鉄道が発明され、農業から工業へという産業革命が勃興し、世界に広がっていく。

石炭そして石油という化石燃料の大規模な発見で、トラック・船・飛行機等による大量輸送自動車が普及、トラクター・コンバイン等の利用による大規模農業化(農業の工業化)も進んだ。

資本家は、途上国での資源採掘他において安価な労働力増を必要としており、多くの貧困家庭は労働力確保の面から子どもを産み人口増となっていく(もちろん医療発達の寄与も大きいが)。

そして、1950年以降は、世界のGDPや人口・CO2排出量は大加速(グレートアクセラレーション)していく。(以下、3つの図は著書「Earth for All」より引用)

【グローバル・ノースからの資源・労働力奪取】
世界の経済成長の過程で、化石燃料である石炭・石油や、道路等のインフラ整備・建築資材用の金属鉱物の採掘により、膨大な天然資源消費量(マテリアル・フットプリント)がグローバル・サウス(新興国や発展途上国は多くが南半球に位置)からもたらされた。

というより、グローバル・ノース(経済発展国は多くが北半球に位置)の資本家たちから、労働力とともに奪取されたといったほうが的を得ている。

【森林の喪失】
また、森林は、エネルギー用の木材確保や、工業的(集約的)農業のための農地拡大伐採され減少していく。

一方、発電・自動車・運搬によるCO2等(温室効果ガス)増大は地球温暖化をもたらし、熱波が発生し森林・山火事が頻繁に起こってCO2吸収源であるは森林が消失しつつある(アマゾンは世界の酸素供給量の20%、7万回以上の火災発生)。

また、熱波は熱中症による人間や動物の死をもたらし、干ばつは農作物の激減で食糧不足を招く。

一方、温暖化は大量の水蒸気による豪雨・ハリケーンをもたらし、洪水で多数の死者や農作物の不作で多くの難民が発生している。

ますます、CO2問題による地球温暖化が懸念される(地球環境危機の全体構造は作図参照)。

【世界のCO2排出量の46%が中国と米国】
ここで、世界のCO2排出量はどうか見てみる(出典EDMC/エネルギー・経済統計要覧2023年版)。
上位は、①中国32% ②米国14% ③インド7% ④ロシア5% ⑤日本3% ⑥ドイツ2%(2018年調査)。
ナント、中国・米国で46%を占める。

1人当たり排出量を見ると、①米国13t ②ロシア11t ③韓国11t ④日本8t ⑤中国7t⑥ドイツ7t

ここで大事なことは、中国と米国のウェートが大で、CO2排出問題はグローバル・ノースの問題ということ。

ロシアや日本も排出責任を問われる立場にあり、CO2削減対策が迫られている。

今後のCO2による地球温暖化問題は、中国と米国の協調的話し合いと主導なくしては進まないであろう。その際、グローバル・サウスの理解は欠かせない

【大気コモンズという視点】
さらに、これまでに大気中に蓄積したCO2を無視していいのか、現在だけでなく過去の排出量も調べる必要があるのでは、という議論がある。

そこで、土地、森林、漁場だけでなく、「大気」も共有財産であるという「大気コモンズ」という考え方がでてくる。

次回に、その「囲い込み」や「植民地化」の視点を含めて、考えたい。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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